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スタッフが去ると会長が居住いを正した。真面目な話を始める雰囲気を察知して、俺も背筋を伸ばす。

「今日から福井も役員に加わって、正式に生徒会として活動していくことになる。行事だけじゃなく普段の仕事もそれなりに大変だが、やりがいはある。福井にとって、生徒会に加入したことがプラスになっていけばいいと思う。お前からすれば年上ばっかだけど、敬語がどうこう先輩だからどうこうなんて堅苦しいこと言う奴は誰もいねえから、安心しろ。ま、気楽に仲良くやっていこうぜ。よろしくな、福井」
「はい、こちらこそ、皆さんよろしくお願いします」

さっと頭を下げた福井くんに、口々によろしくと返す。俺も、彼の切れ長の目を見つめて言った。
これからは今までのメンバーに新たに福井くんが加わる。皆で、いい生徒会になれたらいい。

「さて、じゃあご飯を食べようか」
「そうだな。いただきます」
「いただきます」

会長に続いて、皆の声が揃った。目の前のポークカレーに意識が向かった途端、俺のお腹がきゅーと鳴いて、それは賑やかな食堂でもすぐ隣に座る会長にはしっかり届いたらしく「いっぱい食えよ」と笑われてしまった。恥ずかしかった。


◇◆◇

この食堂ではどのカレーにも、ゼリーがおまけでついてくる。辛いものを食べた後の口直しのためだろうと思う。現に、辛い味付の中華料理には、杏仁豆腐がついてきたりするし。
ポークカレーを半分ほど食べたところでふと思い付いた俺は、そのゼリーを、気持ちいいくらいにどんどんご飯を食べている福井くんの前に、そそっと置いた。すぐに気が付いてきょとんとした顔をされる。

「京先輩?」
「あげる。」
「え、でも」
「福井くんが、生徒会に入ってくれて嬉しいから」

ありがとうとよろしくのほんの些細な気持ちの表現。そう伝えると福井くんは、目を細めて優しい顔をした。

「そういうことなら、有り難く貰わなきゃですね。ありがとうございます。俺も、京先輩に勧誘してもらえてよかったです」
「―、うん」

何が「うん」だ、馬鹿、と自分の頭を張り飛ばしたくなった。でも、福井くんが喜んでくれたようで、良かった。やってから自己満足ではないかということに思い至ったから、ほっとした。


やりとりを見ていた会長が他の二人と「京が先輩してるなぁ……」「育ったねぇ」「京ちゃん先輩、優しいー」などという会話をし始めたので、照れ臭くなった俺は、ぺしぺしと傍にあった腕を叩いた。
絶対に痛くないくらいの強さだったが、会長は唇を笑みの形にしながら「いたいいたい」と言って、俺の頬をぐにーと引っ張った。痛くはなかった。

「京先輩の頬、めっちゃのびますね」
「これは俺専用だから、福井は抓むの禁止だ」
「なんすかそれ? まあ先輩の頬引っ張るとか、失礼なことしませんけど」

こちらを見ている福井くんが楽しそうだから、首を振って逃れるのはほんの少し後でもいいかもしれないとちらっと思った。





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