■ 雪音様より、漆と茨二人のSSを頂きました!




暦の上では春だというが、まだまだ寒さの厳しい時期。室内ではあるが寒いのはあまり変わらない。
他の仲間たちはみんな出払っていて、今は二人きりだ。最初は他愛ない会話をしていたのだが疲れてしまったのか彼はソファで眠ってしまった。
つまらないから悪戯でもしてみようか。そっと彼の頬に指を当ててみるが起きる気配はない。


「こんなところで寝たら風邪ひくよー?」


すやすやと寝息を立てている彼を起こすのは気が引けるのだが、流石に風邪をひいてしまうと困る。
彼が寄りかかっているので身動きも取れない。漸く今の状況を理解して、意識した途端に心臓が高鳴る。
心臓の音が聞こえているのではないか、なんて考えていたら彼の瞼がぴくりと動いた。


「……う、ん?」
「おはよう」
「……おはようって」


時計の針は午後3時を示している。おはよう、というには遅い時間。
そもそも少し前まで二人で話していたわけで。


「……悪戯、してないよな?」
「してないよ。…………ちょっとだけ、つついたりはしたけど」


最後のほうは彼に聞こえたのかも分からないくらい小さな声。
そろそろ仲間たちも帰ってくるだろう。


「ほら、みんなを出迎えなきゃ!」


彼の手を引っ張ってふわりと笑んだ。





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