「んふふー、おにいひゃん、だいしゅきー」
「……」
いつものお兄ちゃんよりすっごく大きくて、髪の毛もキラキラだけど格好良くて、大好き。
なんだかライオンさんみたいだけど、良い匂いもして落ち着くんだ。
またこちらに体を倒してきたお兄ちゃんが、俺の耳をふにふに触ってきた。
「どこら辺が好きなんだよ」
「んー?」
「俺のどこら辺が好きなんだよ、おら言ってみろ」
ちょっとだけ怖い目をしながらそう言うお兄ちゃんが、耳をふにふにしたまま聞いてくる。
俺はそんなお兄ちゃんに満面な笑みを浮かべた。
「かっこいいとこりょ!」
「……見た目かよ」
「えへへへへ」
笑う俺にお兄ちゃんはため息をつきながら、少しだけ強く耳をふにふにしてきた。
痛いよって言うと、優しく撫でられる。
「あちょね、やしゃしいの。おれのこちょ、ちゃんろまってくれりゅの。いじめりゃれるちょまもっちぇくれりゅの」
「……」
「いたいいたいはこわいけろ、おにいひゃんのひょうがいたいいたいかおしゅるの」
「……」
「おとうしゃんちょはちがって、おれのこちょ、たたいてもわらわにゃいの」
「は?」
「あちょね、あちょね」
「おい待て」
急に体を起こしたお兄ちゃんを見上げると、その目はさっきよりすごく怖くてびっくりする。
思わず体を丸めた俺に気づいたお兄ちゃんは、少し困ったような顔をした。
「……おい小虎……お前、あのクソッたれに、親父に…………殴られてたのか」
「……しょーだよ?」
「…………」
俺の言葉を聞いた瞬間、お兄ちゃんはすごく痛い痛い顔をした。
だからそんなお兄ちゃんに手を伸ばし、胸のところをそっと撫でる。
「いたいいたいの、ちょんれけー」
「……っ」
「だいじょうびゅ、おにいひゃん。いたいいたいのちょんれったれひょ?」
「……っ!」
笑う俺に顔を俯かせたお兄ちゃんは、すごい力で俺を抱きしめてきた。
痛いよって言ったけど、お兄ちゃんはずっとずっと、俺を抱きしめていた。
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