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「わざとらしく焦らすと、理性もなく強請って腰を振りはじめる」

「れ、お……」


言いながら、玲央の顔がゆっくりと俺の首筋を伝い、耳元まで上がってきた。
時折息を吹きかけられると、まるで自分が女の子になった気に陥る。


「最後には自分から股開いて、俺を誘うんだよ――犯して、ってな」

「ひ……っ!」


どこか笑いを含んだその声が耳元でしたかと思うと、耳をかじられた。
先ほど男にかじられた同じ個所なのに、今はピリリと甘い刺激が脳を走る。
意味が分からなくてつい玲央の胸を手で押すが、その手を握られてしまうと抵抗もできなくなった。


「あり、がと……れお、も、いい……からっ」

「……」


ビリビリと体が痺れたみたいに可笑しい。
頭がクラクラして本当に自分が女子だと錯覚してしまうのは、この格好のせいだろうか?
触れる玲央の手も、それに包まれる俺の手も、熱い。


「……奥を突くと体を震わせて、快感に身悶える」

「! れ、お……っ!」


なのに、玲央は俺の手を強く握りしめ、今度は感触を味わうように何度も何度も耳を甘噛みしてきたのだ。
これ以上はまずい。なにが、かは分からないけど、ダメだ。これ以上は、絶対にダメなんだ。


「れお、玲央……っ、る、して……、ごめ、んなさ、い……っ」

「……」


耳元を陣取る玲央の顔を傷つけたくはなくて下を向くと、黙った獣は潔く俺の手を離した。
そのことに安堵して息を吐く。ゆっくりと体を起こした玲央の目を見上げた瞬間、体が甘い衝撃に襲われた。

なぜなら――俺を見つめる獣の目は、色を孕んだ捕食者のそれだった。


「……ひ、……あぁっ」


恐い。着ている服の意味がない。獰猛な獣の前に丸裸で立っているようだ。
獣はこの貧相な皮の下に、赤い血肉があることを知っている。その味を、舌触りを、自分の腹を満たす獲物があることを、知っている。




 


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