×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -

6 - 7



それからその事実を知っていた仁さん、隆二さん、雄樹に話を聞いたところ。
兄貴も泉ちゃんも相手をとっかえひっかえ遊びたいが、恋人を作るなんて面倒なことはしたくないらしく、つまり体だけの関係を求める相手は何十人でも欲しい、という恐ろしい願望があったらしい。
それで偶然にも知り合った兄貴と泉ちゃんは互いに同じ匂いを感じとり……形だけは恋人を、カモフラージュとして同盟を結んだのだそうだ。

そうなればいくら抱こうが抱かれようが、相手には「恋人がいるから」なんて嘘でばっさりその気持ちを拒絶することができる。
そんな浮気万歳カップルではあるが、みなが二人は恋人だと騙されているので、しつこくされることはない、とかなんとか。
そもそも二人とも一度寝た相手とは寝ないらしく、忘れ物をしたときは互いに相手に届けているのだという。

ちなみに俺が看病したときの泉ちゃんは仮病で、そうして具合の悪い振りをしながら童貞を捕まえているそうだ。

……そんな不純な話を、初心な俺に聞かせないで欲しかった。


「悲しい……女の子に対するなにかが失われた……っ」

「よしよし、トラちゃん可哀想に。大丈夫、女じゃなくても恋はできるよ。俺が保証する」

「……雄樹……っ!」

「トラちゃん……っ!」

「悪いけどその気持ちだけ受け取っておくわ」

「だよね!」


アホな雄樹の励ましに癒されて、俺はまたお粥作りをはじめた。

――と、いうのに。


「じんーーー!」


なんか、エレベーターのほうから叫んだ男が仁さんのほうに飛び込んできた。
誰だ、この人。


「司(つかさ)じゃねぇか。どうした?」

「どうした!? どの口で言ってんだよお前は! ちくしょう!」

「はは。相変わらずキレやすいなぁ、お前」

「ふざけるな! 俺の金のなる木を返せっ!」


金のなる木?
飛び込んできた男をものともしない仁さんに感銘を受けつつお粥を仕上げる。
お盆に乗せて雄樹に渡せば、恋人が絡まれているというのにやつは素直に運びに行った。ということは、知り合いなんだな。


「おいおい、玲央がここにいんのはアイツの意志だぜ?」

「違うだろ! このあいだここで乱闘した詫びだろうがぁ!」

「分かってんなら黙ってろよ。そのうちデスリカに戻るだろ」


デスリカ……と、いうことは。
多分、仁さんに吠えているこの人はデスリカのスタッフだろうか?




 


しおりを挟む / 戻る