※どSな静雄は、お好きですか。
暴力・性的な意味で18歳未満は回れ右ですぞ。
夏を待つプールサイドにまで追い込まれ、グラウンドからは部活を終えたのか照明が消されてしまった。
その中放課後に始めた喧嘩の決着が、やっと着こうとしている。
短ラン姿の少年、臨也は対峙しているブレザーを着た少年、静雄には常々優位に立っていたいと思っていた。知恵も狡さも比べるまで無いほど長けていると自負しているし、いざ追い込まれても覆して悔しがらせてやれる自信もあった。
そして今はギリギリまで引きつけて、水のないプールを通って逃げようと考える。今頃は下駄箱に置き去りにされた鞄が教師に拾われているだろうか、気にはなる。
力で押す事しかできない静雄には、俊敏さに磨きをかけてきた自分には追いつけないとわかっている。だが、このところ相手も喧嘩慣れしてきたのか自分にあと少しのところまで追いつけるようになった。
前までは余裕で逃げ切れたのに、この頃は紙一重でどうにか逃げている状況だ。
それが悔しいのに少し楽しくもあるけれど、怖くもある。
未だに未知数な静雄の内面は、自分が思うよりずっと深く感情や何かが植ってそうで、知るのも見ないふりをするのも怖い。
お互い走り回り、暴れてきて疲労に息が上がっていた。ここで逃げそびれたら一発は殴られるだろう。膝が疲労で笑っているけれど、じり、と足を一旦前に出して相手を動かせる。
案の定、殴ろうと飛び出した静雄を待たずに空のプールへと飛び込み、そのまま駆け抜けてフェンスからバイバイと言う予定だった。ところが静雄は、そう読んでいたのか臨也がプールサイドを蹴り飛んだ瞬間、同じ様にプールに飛び込み、空中で胸倉を掴んできたのだ。
バランスを崩された臨也は、まさかの事態に驚愕の声すら上げれず、静雄の勢いのまま背中から着地する羽目になる。
「ーーーっ!!」
背中の衝撃は胸を圧迫し、ぶつけなかったはずの頭までくらくらとさせる。静雄はより胸倉を強く握り締めると、喉がアンダーシャツで軽く絞められていく。
自分を跨ぐように押さえ込む静雄の顔は、陰になって見えない。
「………っ、は…とうとう、つかまっちゃったなぁ…」
抗うより流れに任せて隙を見た方がいいと、されるがままにしておいて体力の回復を待つ事にした。
ただ、本気で殴られたら二度と目覚めないかもしれない。
「……屈辱だね、こうして君にねじ伏せられるなんてさ。こんな時間いらないから、さっさと殴れよ」
ただでさえ立っている時も身長差で見下ろされているというのに。こんな態勢で見下ろされるなんてとんだ厄日だ。
体を酷使した疲労を回復させるために荒く早い呼吸をしているが、ぞわぞわと緊張して浅い呼吸になっていく。
しかし静雄は、そんな臨也の挑発には無言で胸倉を強く締め上げることで答える。
短く痛みと苦しさに声を上げると、鼻で笑う声が聞こえた。
「なぁ折原、殴られる前にもっといい屈辱を味わないか」
珍しい、シズちゃんが笑っている。
でもそんな笑い方なんて見た事がない、まるで、まるでーーー
自分で考えた事なのに、恐ろしさに血の気が音を立てて引いた。
だがそれ以外に思いつく言葉はない。
「ただし、抵抗したら容赦なく殺す」
獲物を前にしたケモノみたいだなんて
胸倉を掴んだ手が臨也の体をわずかに持ち上げ、勢いよく背中をコンクリートに叩きつける。さっきと同じぐらいの衝撃に目を閉じてしまい、恐る恐る目を開くと信じられない近さに静雄が居た。
思わず反射的に胸倉にある静雄の手を掴み、僅かに力を入れると静雄がその手を見ながら静かに言う。
「……抵抗してもいいが、4回…や、5回まではいいぜ?両腕両足、腰か首の骨を折っていくだけだからな」
「……な?!」
「優しいだろ?本当は片足片手は折ってやりたいんだがな」
そう言いながら静雄の膝が臨也の足に乗せられるとじわじわと力が込められ、細い臨也の足の骨がみしりと小さな音を立ててしまう。
「……っ、いっ…?!」
「これなら標識より簡単に折れそうだな、折原……いやイザヤくん?」
ニッと笑った口が近付き、恐怖に染まった臨也の顔、その唇に短く触れていく。口付けられたなんて思えられないぐらいに短く、淡々と。
「愉しませてもらおうか」
そう囁き体重を支えていた手を、竦む臨也の顔に添え、顎を荒く捉える。唇より先に舌を這わせ、食いしばろうとした歯列を割り、震えて引き篭もっているその舌を無理矢理絡み取る。
先程まで暴れていた上、さらにこんな予想外な出来事に慄いて乾き切った咥内は、すぐにぴちゃりと音を立てて静雄の唾液に濡らされていく。
「………っふ…、は…」
舌に噛み付く勢いで口の中を蹂躙し、呼吸することを忘れさせていく。静雄の手に添えられるだけとなった臨也の手が、時折小刻みに震え、静雄の赤黒い熱を少しずつ上げさせていた。
飲み込みきれないどちらとものが混じった唾液が臨也の口端から頬を濡らし、息苦しくなって閉ざした目から溢れた涙がそれを追った。
唇と舌で口を塞がれ、うまく呼吸が出来ずに意識すら翻弄される。
シズちゃんがこんな趣味持ってたなんて知らなかった、明日からとんだ変態だと罵ってやるよ
なんて軽口を叩いたならその時首をへし折ってくれるかもしれない。そんなことが予感させられる程の気迫があった。顎を掴む手が離れても口付けは止められずに、そのまま下に降りてひくつく首に軽く指を添えて、そのまま絞めらるのではないかと臨也の緊張を呼ぶ。静雄はその細い肩を大きく震わせた臨也の、アンダーシャツ越しに薄い胸板を弄び、その突起を指でなぞりだす。
「…?!んっ、む……!?」
ちり、とした軽く痺れる感覚が触れられた箇所から体の中、奥近くまで掠めていく。布越しに擦られる刺激が寒気のような焦れた感覚と、不安や恐怖とは違う感情がじわりと膨れていく。
臨也の胸倉から静雄は手を離しても怯えた臨也の両手はそこから動けない。
「……ふ、ーーっ…!」
ようやく静雄が離れて解放された口は、すぐに音のない悲鳴を上げる。臨也の口を貪っていたその口が白く細い首元に喰らい付き、噛み切りそうな程力を込めて歯を立てる。痛みに体が跳ね、手が静雄の肩を掴んで押し返そうとしてしまった。その首元や鎖骨あたりに舌を這わせ、歯を立ててと繰り返しながら肩を掴む華奢な手首を握り、少しずつ力を込めて声を殺していた臨也が堪らず、叫びだす。
「いっ、たいっ…!やめ、シズちゃ、……お、折れっ…!!」
「…邪魔くせぇから折っておこうか」
首の筋を舌で舐め上げ、耳まで舐めとってからそう囁くと、ぞくりとした感覚に身体を震わせ、みしみしと音を立てていく腕の痛みに啼きだす。
「や、だっ、やめろっ、やめっ……!!っーー!!」
いよいよもうひと息かと潤み出した目を閉じてしまった臨也に、静雄は急に手を離す。離されてコンクリートに落ちた手首は熱を持った痛みを持ち、ヒビぐらいは刻まれてありそうだった。
次に静雄の意に反したらーーー折られる。
痛む手首に意識を向けている刹那も、静雄の舌と手が臨也の首元や胸元を探り、怯え切った喉の奥で声を上げさせていく。
歯を立てられたならそのまま血肉を食いちぎるんじゃないか、なんて思わされる荒々しさなのに、触れられ嬲られるこそばゆいような感覚は、じくじくと体の意思とはちがうところに集まってしまう。
「……ふっ、んんっ……」
「……こんな時でも感じるもんなんだなテメェは…いい趣味だなぁ」
「……ん、な、ことっ……!ひ、っ…!」
少しずつ捲られていたシャツが、その胸元を静雄に晒させると、腹部から肋骨、胸と嬲り回る舌がその突起を掠めた。指とは違い、生暖かい舌に舐め潰され、雑に転がされこれまで経験したことのない感覚が臨也の身体を震わせて焦らしてしまう。
「……っん、や、だっ……!」
静雄の舌が強弱をつける都度にビクビクと身体が揺れるのが恨めしい。無理に与えられ止まらない刺激に逃げたいが足には力が入らず、歯の奥は恐怖を感じてカタカタと震えてしまう。
胸の突起の片側を舌で、もう片側も指の腹で弄べば、刺激に従順な華奢な身体が力を失い、抵抗を諦めるために臨也は顔の上で腕を組んで顔を隠す。
「…う、ぁっ……?!」
がり、と突起を荒く噛み、体を起こした静雄の手が躊躇うことなく臨也のベルトにかかる。一瞬だけ手を止めて、それを引きちぎるかどうするか迷ったが、細い腰に回されたベルトはあっさりと解除できてしまう。ズボンのボタンを外す時に臨也が堪らず息を飲み、晒される羞恥にどう堪えればいいのか出ない答えを闇に求め、息を飲む。
殆ど一連の動きが一瞬で済まされたのに、瞬間瞬間が長くも思えていたが、静雄は強張る腹を掠め、下着ごとズボンを力無い下肢から力に任せて引き剥がす。完全には引き抜けなく片足首に引っ掛けているままに、隠そうと揺れた臨也の膝を無言で押し開いた。
覆った腕で表情は隠せても恐怖は誤魔化されない。臨也の太腿に静雄の髪が触れ、身体の中心に長い指が絡まれば、慣れない感覚に身構えていく。
静雄の手の中のそれは、さっきまでの愛撫に熱を持っていたが、恐怖のためか殆ど形を変えてはなかった。手に取る事でまた熱が引いていくのがわかり、ゆるりと指と掌がそれを扱く。
「…な、っ……!!」
骨張った手が筋を辿ると、力無い足がびくりと震え、細かく上下に擦られる刺激に快感が押し寄せてくる。
声や息が漏れないよう、学ランの袖を嚼んで耐えたが、無理に押し付けられてくる快感に力が抜けて、胸に淀む空気を音を立てて吐き出してしまう。
「ん、っ……っ…」
どこをどうすれば弱いのか、辛いかなんて人それぞれでもあまり違いはない。静雄の手がそう優しくなく臨也のそれを弄ぶが、なかなか絶頂を迎えそうもない。まだ恐怖は快感に支配されてないのか、小刻みに震える臨也の身体は浮き沈みする熱に翻弄されている。
「……も、いい、だろ……っ、はな……?!」
疼く熱とそれを下げてしまう恐怖に混乱しそうだ。諦めて解放してくれないかと臨也は見たが、静雄は扱く手を止め、太腿をさらに押し開くと身体を屈め臨也のそれに顔を近付けていく。その気配に顔が熱くなるのに、血の気はますます引いていく。
「……なに、ば、バカかやめっ……ひっ!!」
身体を起こして止めようとその頭に手を伸ばしかけたが、胸や首を嬲っていた舌の感触がそれを捕らえた。
すれば指や手とは全く違う感覚に竦んだのは一瞬で、音を立てて舐められるとうってかわってじわりと熱く、甘い痺れがそこから広がる。
「ひ、ぁ、っ……んんっ……」
静雄の咥内に捕らわれ、舌や唇で卑猥な音を立てられたなら、反応が著しかったそれはすぐに熱を集め、尖端を舐め上げる舌に薄苦い汁を走らせる。
経験があっても耐え難い快感は、さすがにまだ経験のなかった臨也が耐えれるわけもなく、足や腰が震えて限界を訴えてしまう。だが、果ててしまえば静雄の思惑のままになり、嗤われる。屈辱、まさにそれ。
しかし、我慢しようと快感を意思から引き剥がそうとしても、余計に意識が向き、静雄の舌や指の感覚をより際立ち感じてしまう。
手の中にあるものが震えて強張っても、頑なに声を噛み締め堪える臨也に焦れて、口を離して唾液に濡らされたそれをより強く、早く扱く。
「……っ、あっ、やめ…………ぃっーーー!!!」
ぐんと強い快感が意地をあっさり叩き伏せて、震えて限界だったそれが静雄の手を白濁した熱で濡らす。
腰から下が抜けていくような快楽が一瞬で背中から脳天を通って駆け抜けて、身体から熱を奪う。
吐精した余韻に頭や腰が痺れて呼吸が粗くなる中、抗えきれなかった絶頂に絶望めいた後悔が押し寄せる。
今頃静雄は満足そうに笑っているだろう、こんな姿で、嫌いな奴に触られ、好きにされてイッたなんて。
自分のや静雄の唾液で濡れたそこが酷く気持ち悪い、足を閉じて静雄から逃げようと力無い足を動かそうとしていた。だが、静雄の手が、腕が、臨也の腰に回され、あっさりと身体を反転させる。顔の前にあった腕が、プール底のコンクリートに押し付けられ、思わず顔を上げて久し振りに周りを見渡す。横を向いても静雄はいない、さらに肩越しに見やってやっとその影、薄らと嗤う静雄がこちらを見ていた。
「……っ」
途端に思い出される恐怖は、腰にある手が濡れた後ろを静雄に晒す恰好を強いればより強くなり、地面についた膝を戦慄かせた。
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