涙よ三秒だけ止まれ






※お互いが18〜20歳くらい

シンヒカ









ああー連絡こないなあ


まあ私からしないと来ないタイプなんだけどね。




「あれからもう数年たってるのかあ。」


独り言ではない。


ミミロルが聞いている、

たぶん。




「最初は今以上に素っ気なかったっけ」



あれ、どうやってここまでやってこれたんだろう。



時が経つのが早すぎる。


ディアルガが操作したかのように。




「ミミロル、ピカチュウと最近会ってないね」

ミミー、とミミロルは淋しそうに返事をした。



そういえばサトシはあれからリーグに行って、私は、グランドフェスティバルに行ったんだわ。

それぞれの道へ。


今はカスミさんと仲良く暮らしている、サトシ。




タケシはブリーダーになるために色々な地方を巡って行った。


現在ニビシティに戻ってジムリーダー兼ブリーダーの仕事をしてるってこないだ連絡が来た。



そして、先輩というべきハルカ。


ハルカはジョウトのリボン5つ集めてグランドフェスティバルに行った、


シュウさんと。


今もハルカと連絡は取り合っていて、近いうちにハルカはシュウさんと婚約するらしい。





みんな、みんな、未来がある。





私は……何?


シンジが婚約なんてきっとまだ考えてないし。






「ああもう!ポッチャマとシンジ遅いなぁ!」


シンジとポッチャマは特訓に行っている。


普段は仲があんまり良くないのに。


珍しい。





などと思っていると、

ぴんぽーん、と軽快なリズムのチャイムが鳴る。



「帰ってきた!?」


うきうきとした足取りでドアを開けた。






しゅばばっ、



突然の水の衝撃。


そして次に弾けた泡の水が顔にかかってびしょ濡れだ。



「だっ、誰よ!」


誰だか見当は付いているが、一応言ってみる。





「ポチャ…」

案の定、ポッチャマだった。


「ポッチャマ、なにいきな……り…?」


私はポッチャマのくちばしの先にキラリ、と光る何かを見つめた。




「それはお前のだ」


ポッチャマの後ろにいたシンジがやっと口を開いた。


「わ、私の?こんなに高そうな物持ってないけど…」
その綺麗な指輪を手に取った。

ポッチャマはそそくさと玄関のすぐそばにあるマットで足を少し拭くと、ミミロルたちの所へ行ってしまった。




「鈍いな、」


「な、なによ」


ドキリ、と鳴る心臓。


いつにもなく彼の真剣な眼差し。







「結婚してくれ、ヒカリ」





ああ、なんて私は幸せなの。

指輪は私の指にぴったりとはまっていた。

涙は止まり方を知らずにぽろぽろとこぼれ落ちて行く。


「はい、」



今だけ、涙をとめて。




彼の顔が見えなくなっちゃうわ。







end.




お題:
確かに恋だった







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