Clap
・大学生同棲緑高
「しーんちゃん、雨降ってるなぁー」
「あぁ、降ってるな」
「何時になったら止む、かなぁー」
開きっぱなしの窓の枠に寄りかかり、だらしない口調で高尾は無理難題を聞いてくる。
いくら俺が人事を尽くしているとはいえ、雨がいつ止むかなど、解らないのだよ。
「…例年関東の梅雨明けは、7月20日頃なのだよ」
「えー1ヵ月もあんじゃん…」
寄りかかっていた窓枠の上に腕を組んで頭を横たえると、唇を尖らせ文句を言う。
だから、俺に言われても知らないのだよ。
「真ちゃんとハイキングー……」
高尾がぶぅたれているのは、行く予定だったハイキング予定を雨で見合わせたためだ。
山は市街地に比べ気温が低いし、雨で滑りやすく成っていて危ないだろうと判断したためだ。
先週末も雨で断念、今週も雨で延期となったのはまぁ時期的に仕方ないだろうと、俺は思っていたのだが。
「そうだ、真ちゃん、てるてる坊主作ろ!」
「は…?」
「てるてる坊主知られねぇの?」
「いや、知っているが…」
子供じゃあるまいし、てるてる坊主で天候が左右されたら誰も困らないのだよ、と思ったが口にするのは止めた。
そんなことでお前が喜ぶのなら付き合ってやるとしよう。