「あれ、今日は部活じゃないの?」
「体育館工事してるってさっきセンセー言ってただろ。おまえが船漕いでる間にな」
「今日はちょっと眠かったの!!」

男子の人数が圧倒的に多い工業高校では女子が入る部活はほとんどない。かくいうわたしもその少ない女子のうちの一人なんだけど。

「お前いっつもこの時間に帰ってんの?」
「まあね。帰宅部様様ですから」
「威張るとこじゃないよなー結局んとこ暇人じゃん」
「そうだけどさーでもホラわたしはバイトやってるし」
「そーいえばこの前うちの部のゴリラ先輩にコンビニでお前の彼女見たって言われたわ」
「鎌先さん?だっけ?ていうか彼女ってなにそれウケル」
「あの人脳みそも筋肉だからさ。勘弁してやってよ」

確かにわたしと二口は仲が良い方だ。だからはたから見ればそういう関係に見えるのかもしれない。でも実際のところ二口とはただの友達だしお互いそういう感情は持ち合わせていないのだ。そもそもクラス内に女子なんて片手で数えられる程度しかいんだし自動的に男子とも仲良くなるものであって。なかでも二口は喋りやすいし、なんだかんだで良い奴だから、っていう、ただそれだけだ。でも、

「バレーやってる時の二口ってかっこいいよね」
「は?何だよいつもかっこいいだろ」
「はいはいそうですね。でもなんか…わたし何回か試合の応援行ったじゃん。しょーじきバレーボールはよくわかんないんだけどさ、なんていうかかっこよかったの!!」
「…なまえにもう少し語彙力があればなあ」
「うっさいわ!」
「でもまーありがとな」

そう言ってわたしの頭を鷲掴みにしてわしゃわしゃ揺らした。

「髪ボサボサになる!」
「いーよいーよ。俺は髪ボサボサななまえちゃんも好きだよ」
「二口ほんとわたしのこと大好きだね」
「調子のんなよおチビ」

でもやっぱり、好きだなあ。
二口とこうやって馬鹿やるのが好きだ。

「わたしは二口のこと好きかも」
「は?え?突然の告白?」

自分にはまだ友情と愛情の境界線が分からないけど、どうやらわたしは二口のことが大好きらしい。

「じゃあわたしこっちだから!バイバイ!」
「あ、おい待てよバカ」





後日、一連の様子を目撃されていた鎌先さんにやっとくっついたんだな と言われた。まったくタチが悪い。


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