好きなの。

私は最近変だ。花京院の顔を見ているとだんだん恥ずかしくなって彼の顔を見れない。花京院のことを考えると頭がふわふわしてきて頬が緩む。彼の笑った顔がとても好き。真剣そうに本を読んでる顔も好き。承太郎と楽しそうにゲームしてる顔も好き。すき、好き、…好き。今まで友達として接してきたからこの気持ちをどうしたらいいのかわからない。好きだけど、言ってしまって今の関係が変わるのは怖い。でも、だからと言ってこの気持ちをなかった事にして振る舞うなんてできるわけが無い。

「優? 難しい顔してどうしたんだい?」

ふわ、っと私の上に影を作って見下ろすように立つ花京院。少し心配の色が見える。

『そんな大したじゃないよ』

今こうやって話しているだけでもどんどんと顔に熱が集まっていくのがわかる。きっと私の顔は熟れた林檎のように真っ赤だろう。

「なんだか顔が赤い気もするけど…。熱とかないかい?」

そういってスッと私のおでこに手を当てる花京院。冷やっとした指が気持ちいい。ちょっと顔が近い気もする。うわぁ、どきどきする。

『だい、じょぶだよ、熱なんてないよ…』

「本当かい?無理はしちゃダメだよ?」

花京院はいつでも気が利いて優しいから私としてはすごくその気になっちゃう。花京院がどう思ってるのかはわからないけど。それに彼が他の人(承太郎とか私とか以外)と、ましてや女の子と親しげに話してるところなんて見た事が無い。だから他の女の子にどう接していてるのかもわからないし、私の事を特別に扱ってくれてるのかもわからない。そもそも花京院は私の事を“女の子”としてみてくれてるのだろうか。彼の中で友達のポジションをゲットできているのは確実だけどそこで終わってしまいたくない。そう思う私は自分勝手だろうか。

「優はすぐなんでもない、って終わらせるからね。大切な存在なんだから、抱え込んで潰れちゃわないでね?」

すごく優しい綺麗な目で頭を撫でながら諭すように話しかけられる。キラキラ宝石のように輝くその緑色の目に私はどう写っているのだろう。大切な存在、なんてすごく曖昧な表現。期待してもいいのかな、それとも私を傷つけないための予防線? わからないことばかりだけど私は貴方が大好きなの。

『…わかってるよ、私の“大切な人”』



fin.

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