冗談キツイぜ 『ミースタ! みてこれ〜可愛いでしょ!』 ずいっと優によって押されて俺の前に出てきたのは、…多分ジョルノだ。なぜ確信がないのかといえば、髪は緩くウェーブがかってほどかれており薄く化粧もしているからだ。はっきり言うとただの美女だ。美女。これがあのジョルノか?って疑いたくなるほどには可愛いというか綺麗というか。普段から整った顔をしてるのは分かっていたが。…いや、俺の方が男前だな。それに服もいつものではなく、濃紺のワンピースドレスに身を包み、少し筋肉のついた男性的な白い腕を露わにしている。 「どうしたんだよコレ」 『負けたら買った人の言うこと何でも聞くっていう罰ゲームの結果だよ!』 楽しそうに生き生きとした顔で説明する優の横で絶望的な顔をしているジョルノ。同情するぜ。 「僕だって男なのになんでスカート、男なのに…男…」 「似合ってるぜ。それならパーティー潜入のときでもいけるな」 「ふざけないでください。誰が人前でこんな格好するか」 露骨に顔を歪め舌打ちをしてきた。可愛くねーやつ。別にジョルノが可愛くても可愛くなくてもいいけどな。それにしたって好きなやつに女装させられるとかどんな罰ゲームだよ。こんな罰ゲームか。 『似合ってるんだから良いじゃない。すっごく可愛いよ!』 「…………………。」 あ、ジョルノ死んだ。床に崩れ落ちて真っ白になってやがる。本当に気の毒なやつだぜ。しかし優もヒデェやつだな〜。ま、俺には関係ないけどな。さて出かけるとするか。 『ミスタ? 何処行くの? 』 「え?」 『はい! これミスタの分ね! 多分着れると思うよ』 ………は? 「おい、まさかとは思うけどよォ〜俺にも着れって言うのか?」 『あたりまえじゃない! 今さら何言ってるのよ〜』 嘘だろ!?俺は罰ゲーム受けるようなことはしてないし女装する要因が思いうかばねぇ。しかも俺が女装とかなんて悪夢だ。似合うわけねぇだろ、冗談キツイぜ本当。軽く崩れ落ちた俺の視界の隅でジョルノがざまあみろ、と言わんばかりの笑顔で復活していた。 [mokuji] [しおりを挟む] |