『…お陰様で、良好な関係を築けています』

声を落としてそういうと、副長は至極愉快そうに笑った。

『そうかそうか、そりゃ何よりだよ。
あの任務に二人で行かせたのは、無駄じゃあなかったみたいだな』

『どういう意味ですか?』

一目瞭然だという最近の山崎さんが副長にどのように映っているのかも気になったが、含みのある今の言葉が引っ掛かった。

『いやな、山崎に夫婦役の相手を選ばせたのはわざとだ。
そうしてお前のことを意識させといて、山崎に気付かせるのが目的だったんだよ』

『何故そのようなことを』

私は、私たちの関係が副長に操作された様な感じがして、薄ら寒くなった。

『結果お前を利用する形になっちまったことは悪いと思ってる。
でも、俺はお前に山崎の歯止めになってもらいたかったんだ。』

『歯止め、とは?』

『前まで山崎は隊のためなら自分なんぞどうなったって構わねえ、って所があったんだ。
その気概は確かに買うが、あいつの場合はちと度が過ぎる。
そこで山崎にとって何か生きていたいと思わせるものが必要だと俺は考えた』

私は立ったまま黙って聞いていた。
副長の言葉通り、山崎さんは隊士の健康を管理する役目も担っているくせに、時々自分を顧みない振る舞いをする時があった。
私は彼のそういう所が、いつか彼の命を奪うのではと常々危惧していた。
副長は濃やかな心配りが出来る方だから、山崎さんのそんな様子に心を痛めていたに違いない。

『そう考えて真っ先に思い浮かんだのがミョウジ、お前の存在だ。
俺から見て、山崎はお前にだけは心を開いている様に見えたからだ。
まさか恋仲にまでなってくれるとは思わなかったが、山崎の心の中にお前が存在する様になってから、確かにあいつは変わった。
前より自分の身体を大事にするようになったし、雰囲気が柔らかくなったしな』

そこまでいうと副長は一息吸って、言葉を一度区切った。

『お前には感謝しても仕切れねえよ。有り難うな』

そう言って微笑む副長の笑顔には裏表が感じられず、心の底からの感謝だと思えた。

『こちらこそ、私に素敵な殿方をあてがって下さったこと、感謝しています』

少し含みを持たせてそう言うと、だから悪いと思ってるって言ったろ、と副長は苦笑した。



私が彼の生きる理由になれるならそんなに嬉しい事はない。
副長に上手く操られた感はやはり拭えないが、今となってはどうでもいいように思えた。

今はただ、少しでも側にいたいと思う。

副長に呼び出されたといって別れて来た烝さんは、きっと部屋で私が帰って来るのを待っている。

愛しい人を心に思い浮かべながらお茶の用意をする私の顔は、人知れず綻んでいた。








訳解らないし、色々とっちらかってるし、ホントにごめんなさい(>_<)
描写を丁寧に書こうとすると、気がつくとつらつらと…。
短くまとめるって凄く難しい事ですね。。
偽夫婦生活に重点置きたかったのに、そんな設定どこへやら。
その場その場で考え付いて書くからいけないんです。
今度はもっとしっかり練ってからにします。
最後までお読み下さった方に深く感謝申し上げます!



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