『そうしておいでだと、本当の姉妹の様でございますね』



側で控えていた侍女が目を細めて言った。
里で一番大きく立派な桜が盛りの時を少し過ぎ、花びらを舞い散らせている。
その木の下で戯れていた少女とそれより幼い少女が、それぞれ声がした方へ顔を向ける。

幼い方の少女は嬉しそうに“姉”の腰元に抱き付いた。

『ナマエねえさまはちづるのほんとのねえさまよ!ね!』

ナマエと呼ばれた少女は自分を慕ってくれる“妹”の頭を撫でながら笑顔で答える。

『そうね』

何だか面映ゆくて、“妹”はナマエの衣に顔を埋めた。



『あー!ちづるずるいー!』

幼い少年の声がしてナマエはそちらに顔を向けた。
見れば、二人より少し離れた場所で遊んでいた彼が、半分泣きそうな顔をしながらこちらに向かって走って来る。

彼はその勢いのまま千鶴とは反対側のナマエの腰元に飛び付いた。

『!』

ナマエはその勢いを受け止めきれず、後ろにひっくり返った。

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