普段の仏頂面からは想像もつかない程にこやかに笑うルッチを見るのは、久し振りかもしれない。端整な顔立ちは笑ってもやっぱり端整で、あの顔が毎日見れたとしたら・・・と考えてみたけど、それもそれでなんかイヤ。
それより私達は今まさに仕事中で、ターゲットに近付く為華やかなパーティー会場に潜入している。情報を得る手段として私は私である人物に接触して、ルッチはルッチである人物に接触して。簡単に言うと、相手が一筋縄でいかない場合は最終手段としてベッドの中で情報を得るというわけ。


「どうだ?」
「うん、久し振りにドレス着れて嬉しいしこのシャンパンも最高」
「誰もそんな感想は求めてない。上手くいきそうか?」
「ちょっと。この任務内容でヘマするような女だと思ってんの?失礼ね」


隙をみて人気のない別室で落ち合った私達は、途中経過を報告し合う。CP9になってから何回も行ってきたような内容だし今更抵抗も罪悪感もあったもんじゃないけど、ただ行為の最中は少しだけ、ほんの少しだけルッチが恋しくなる。

「心の浮気は許さないからね」

ピンヒールのせいかいつもより近い距離で忠告の言葉を吐くと、先程ターゲットの貴婦人に向けていたものとは真逆の見下したような笑みで。

「こっちの台詞だ」
「オッケー。じゃ後でね」
「ああ」

軽くキスを交えながら出来る限り最終手段を使わないで済むように、と思うのは完璧に割り切れてない証拠。そんな気持ちを振り払うようにして、私は老舗ブランドの5番をワンプッシュし颯爽と部屋を出た。


ドレスアップ
艶やかに着飾り、狙うはあなた
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