刺青だらけの腕が身体に回る。
全身キャンパスと化してるようなこの身体はこうして私を包み込んでくれるから、結構お気に入りだったりする。もちろん今私の髪に絡まる指にも芸術が施されていて。


「おれは新世界に行く。おまえはどうする?」

額に触れるだけのキスとも呼べないようなキスをしながら、そう問い掛けてくる男を改めて意地が悪い奴だと思った。だって「怖いから私は残ります」なんて今更言うわけがないって分かってるでしょう。
性格からしてだけじゃなくて、私が自分に心底惚れていることをこの男は知っているんだ。
それがさっきの質問をしてきた。
つまり、私の口から甘い言葉が聞きたい、そんなところだろう。
「もちろんついていくに決まってる。あなたを愛してるから!」なんて可愛らしい言葉が出てくると思ったら大間違いよ、ロー。


「海賊王の恋人だなんて最高のステータスじゃない。そのチャンスを私が逃すとでも思ってる?」
「とんだ女だなテメェは」
「とんだ女じゃなきゃとんだ男の隣にはいられないよ」
「・・・上等だ」
「本当は全部ロー次第だけど」

私の命はとうの昔に、預けた。
それをこのまま抱えるも置いてくも、ローが決めること。


「馬鹿言え。医者のおれが捨ててどうすんだよ」
「ちょ、なんかそれ、来る女拒まずって感じでやだ!」

ムードが壊れたっていうのにそれでも得意気な笑みを浮かべるこの顔を、このペースを、どうしたら崩せるだろう。考えていたら不意に暗くなった視界。今度感じた額の感触は柔らかい唇ではなく、見た目よりも強度な胸板。


「だけど抱えて、生涯傍に置いておきたいと思う命はおまえだけだ」

嬉しさと驚きのあまり顔を上げると珍しく穏やかにわらうローが見えて、顔もペースもそれ以上に何もかもを崩されてしまったのは私のほうだった。


シャルマンな君の姿に乾杯
いや、完敗。


Thanks!Aコース
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