「ったく…無謀な奴らだよい」
「マルコ、人生何事もチャレンジ!勝ち目がなくても挑んでくるその姿勢に、敬意を払わなきゃ」
「ンなこと言っておまえ・・・」
「ちょ、待って。あの船長って確か宝石コレクターで密かに有名な奴じゃない!?キャアアやったあ!こんなチャンスないわよ私行ってくる奪ってくる!」


呆れるマルコを置いて敵船に足を踏み入れたまではいい。戦闘を掻い潜りながら辺りを見回して、お宝はどこだろう〜なんて鼻唄混じりに独り言を呟いた瞬間!まさかの流れ弾!しかも、顔!頬だよ!

野郎達の罵声や怒号の叫びも掻き消すくらいの悲鳴が船上に響いた。発生元は私。

誰だ、今流れ弾寄越したのは誰だ、
おまえか、近くにいる者を捕まえ見境なく暴れ始めた私は、仲間達に取り押さえられながら船に連れ戻され。これじゃどっちが敵だか分からない。


「痛い!死ぬ!!これ絶対死ぬ!」
「かすっただけよ。大丈夫」
「大丈夫じゃないよ死んじゃう!」
「いいから大人しくしなさい」
「痛い・・・!宝石欲しい・・・!」


ナースの手当てを受けながら考えるのはお宝のこと。
どうしても欲しい!きっと上質の一級品ばっかりだよこんなチャンス滅多にない!よしめげずにもう一回、今度は油断しないで行こう。人生何事もチャレンジ。
颯爽と立ち上がる私の腕を掴んだのは美人ナースではなく、いつのまにか居たマルコ。


「待て待てい。ウチが勝つに決まってんだろい。自然と手に入るじゃねェか」
「自分で奪うことに意味があんのよ」
「いーから大人しくしてろっての。これ以上傷モノにされたら、おれが困るんだよい」

全部奪って、おまえにやるからとマルコは得意気に言い残して出ていってしまう。


「傷がどうって何?っていうか私のお宝なんだから横取りしないでよあーもー!」
「ふふ、分からない?あなたは隊長のお気に入りなのよ」
「・・・お気に入り?」
「意外と恋愛慣れしてないのね」
「え?なに、マルコが私を好きってこと?」
「誰が見ても分かるわ。ていうか付き合ってるものかと思ってた」
「ええええ・・・!?ウッソ・・・」
「いい?隊長が宝石持って帰ってきたら、自分で奪いたかったなんて言わないで素直に受けとるのよ。あ、私にもひとつくらい頂戴ね」


衝撃の事実だ。
恋愛には慣れているつもりだったけどまったく気付かなかった。
少しばかり唖然として窓から外を見ると、能力も使わず次々敵を倒していくマルコが目に入る。

ふうん。へえ、そっかあ。
マルコが私を、ねえ。






thanks/ace
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