週末二日間を掛けて綺麗に片付いた、自室やその他共有の場所。私よりひと足先にリビングのソファに寝転がったローもだいぶ疲れているようだ。
コの字型の反対側に私も寝転がり、達成感を味わう。

「終わったー……!」
「やっと落ち着いた生活が送れるな」
「ねー。あ、夕食どうするの?予定ないならピザでも取って一緒に食べない?」
「ああ、そうするか」
「確かチラシ入ってたよねー」

チラシを取り出して、二人で眺める。
物はすぐに決まったけれど問題はここからだった。

「なに言ってんの!?ピザは絶対パン生地でしょ」
「馬鹿言うなクリスピーだろ。おれはパンは嫌いなんだ」

まさかこの歳にもなってこんなことで言い合いする日が来るとは。

「仕方ない。嫌いなものを食べさせるのも可哀想だからクリスピーでいいよ」
「…………」
「そのドヤ顔やめて」

なんでこうもいちいち意見が噛み合わないのだろうか。
いや、噛み合わないのは仕方ない。問題なのはどちらも簡単には譲らないという性格だ。まあ何も言わず我慢してストレスを溜めるのも、溜められるのも嫌だし。これでいいのかもしれないけれど。
宅配のお兄さんが帰り、ダイニングテーブルに届いた商品を並べる。冷蔵庫から缶ビールを二つ取り出したらお食事スタートの合図。

「お疲れさま!」
「お疲れ」
「あーひと仕事終えた後のビールは最高だね!あ、この歌手知ってる?結構いい声してるんだよ!」
「忙しい奴だな」
「取ってあげるね、はいどーぞ」
「さり気なく面倒も見るんだな」
「あ、クリスピーも美味しいじゃん。パン生地オンリーだったけどたまにはいいかも」
「だろう?」

テレビを眺めながら、主に私があーだこーだ喋ってローはそれに相槌やつっこみを入れて。時折二人で笑って。何だかんだ言って仲良し雰囲気だ。


「そういえば、仕事」
「仕事?」
「警察関係って言ってたけど、それってどんな?おまわりさんとか?肝心なところ聞き忘れてたからさ、あはは」
「刑事だよ」
「はいはい。で、本当は?」
「刑事」
「……嘘でしょ。どう見てもあんたが犯人側の顔してるけど」
「失礼な奴だな」
「刑事って、さ……さつじんとかの犯人捜す刑事……!?」
「それは捜査一課な。おれ捜査二課だ」
「にか?」
「まさか捜査一家だと思ってたとかじゃねェよな」
「そこまで馬鹿じゃないわ」

捜査一課は強盗や殺人など凶悪犯罪を扱う部署。捜査二課は詐欺や横領、サイバー犯罪だったり、主に知能犯を操作指揮する部署らしい。
私にとって未知であり、ドラマの世界のような場所に身を置くローはなんだか少しかっこよく見えた。

「ていうか稼ぎ良いんだったらもっといい場所に住めば良かったでしょうに」
「うるせェ。会社近くなんだよ」




食事を終え、先にお風呂を済ませて出てくるとローはリビングのソファで熟睡していた。

「ロー。お風呂空いたから入っちゃいなよ」
「寝るなら部屋で寝なよ」
「風邪ひくよ」

起きる気配はない。
刑事。よく分からない世界だけどきっと私の想像以上に忙しい毎日なのだろう。
干渉しない約束だから、別に放っておけばいいのにどうしてかお節介を焼いてしまいたくなる。
部屋から毛布を持ってきて、大きな体にそっと被せる。
あどけない寝顔は子どものようで、少しだけ可愛らしかった。


to be continued.
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