パラケルスス+ゲオルギウス

パラケルスス先生とゲオル先生(弊カルデアほぼ初期からいる鯖ず)


「ご無理を言って申し訳ない」
 新しく調合した薬の試飲に付き合って欲しい……こう言って付き合ってくれるサーヴァントなどほとんどいない。しかし彼は私の研究に付き合ってくれるという。聖ゲオルギウス……人理修復を任された愛し子であるマスターに呼ばれた同胞。似たような最初期に召喚に応じた我々も気がつけば長く共にいる。そんな彼が試作品の被験に手を上げてくれたのは、長い付き合いだからもあるのだろうか。半分正解で半分は違うのだろう。
念のために本当に良いのかと問えば、生前に毒入りの葡萄酒を飲まされたので大丈夫ですと、たまたま側にいた周りの者達が真っ青になる話をしながら私は私室にゲオルギウスを招き入れた。
 折角だから、これ以外の別の薬も試していいだろうか。ゲオルギウスに問えばきっとパラケルススにお任せしますと笑うのだろう。私が言うのもなんだが、この聖人はもう少しパラケルススという人間を警戒するべきだ。
「気分が悪い等々、細かな異変でも直ぐに仰って下さい」
 試飲直後の観察……異常無し。
「ところでこれは何の効能があるのですか?」
「簡単に言えば魔力回復の薬です。早々あり得ることではありませんが、もし万が一マスターと離れ著しく魔力を消耗している時の使用を想定しています」
 検温……想定の範囲内。脈拍異常無し。その他目に見える範囲での異常は認められない。
「もしかしてマスターに頼まれました?」
「えぇ。彼女は彼女なりに我々サーヴァント達のことを思い考えて私に頼んで来たのでしょう」
 我等がマスターは魔術師としての才がほぼ無いに等しく加えて、マスターだというのに無鉄砲で豪胆な行動を平気で取る。しかしそれと同時に恐怖と怯えとを持ちながら戦場に立つ。そんな愛し子であり友であるマスターが自分の未熟を知り、自分を頼ってくれた。少しでも我々サーヴァントがサーヴァントとして動ける様にと依頼してきたのだ。答えない理由はどこにもなかった。
「魔術師の素養は無くとも、マスターはマスターとしてやれることをやろうとしている」
「それが私達のマスターですからね」
「えぇ」
 生徒が褒められたからか少しだけ高揚と脈拍が早くなっている。規定範囲内だとして無視して良いだろう。魔力回復値は思っていたより上昇数値が乏しい。今更ながらある程度魔力を消耗させてから試飲して貰ったほうが良かったと気付く。
「パラケルスス先生ー! あっゲオル先生もいたー良かったー!」
「ゲオルギウス先生ですよマスター」
 私室に駆け込んできたのはマスターだ。仮眠と本日の調理担当のブーティカ手製のおやつを済ませた彼女は何時もと同じくやる気と元気に満ちている。
「今から種火狩りに付き合って欲しいんだけど大丈夫?」
「ご命令と有らば直ぐに」
「有難う! パラケルスス先生は? 実験とか忙しかったら無理にとは言わないけど」
「問題ありませんよ。マスターが行くので有ればサーヴァントである我々が着いて行かない道理はありません。それに戦地なら戦地で試したいこともありますので」
「なら良かった。じゃあ残りのメンバーにも声掛けてくるから先にコフィンの前で待ってて!」
 部屋にいた手のひらサイズのホムンクルスを存分にもにもにしながらマスターは部屋から出て行く。……あのホムンクルスも連れていくつもりだろうか? まあそれは良いとして。廊下を走ってはいけませんよとゲオルギウスが廊下側に半身を出しながら諌めるが、はーい!というのは返事だけでバタバタと世話しない足音を立てながらマスターは駆けていった様だ。
「全く仕方のない方だ」
「マスターから元気を取ったらなにも残りませんよ」
 今度はこちらの先生を諌めながら、試薬が入った小瓶を腰のポーチに詰めていった。



今も弊カルデアを支えてくれてる二人


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