盤上の狂ったKING | ナノ


※メフィ燐前提のアマ燐

※所謂3P、注意










 それはまさしくこの一言で始まったと考えて間違いないだろう。

「ボク、奥村燐とセックスをしてみたいです」

 お気に入りのアームチェアに座り、指先が掴んでいるのは見事な細工で飾られたティーカップ。メフィストはそれを唇に近付けるのを止めて瞳を丸めた、次には何を馬鹿なとメフィストは鼻を鳴らして一笑した。ちらりと見下ろせば床に胡座でむしゃむしゃとスナック菓子を両頬が膨らむ程に詰め込むアマイモン、スナックの欠片が辺りに散っており部屋を汚すなと言ったメフィストの言葉は既に忘れているようだった。時折、メフィストの予想を上回る言動をするこの弟だが今回はその極みだと言えるかもしれない。

 誰にも吐露した事はないがメフィストは末の弟が愛しくて仕方がない、それが人間同士の恋愛観からは酷く歪んで外れているのも理解している。そして、悪魔とは独占欲の高い存在だ。何故なら人間のように自らを律して堪える必要などはないのだから。つまりは、メフィストの心境を纏めるのならこうだった。

「断る、アレは私のものだ」

 するとアマイモンは、そうですかと物分かりよく頷くとむしゃむしゃとスナック菓子の咀嚼に戻っていく。それを見てから、ふむと肘掛けを使い頬杖をついて一考する。アマイモンは燐に強い興味を抱いている、こんな突拍子のない事を言い出したのもその一貫なのだろう。だとすれば、
 メフィストはニィと歯を見せ笑う、何かが歪んだ笑みだ。

「…いや、いいだろう。私の言う条件を幾つか守れるならば許してやろう。…守れるな?」

「ハイ、兄上」

 アマイモンは感情の薄い表情のままでこくりと首を縦に揺らした。その際に散った欠片を拾っては口に入れてる所をみて、ああ、今頃思い出したのかとメフィストは呆れながらにそう思った。




♂♀




「っあ、あー…、んっ!」

 ぎしりと、アームチェアが軋んで揺れる。燐の汗ばむ白い背筋や肩甲骨が眼前で震える姿にじくじくとメフィストの熱は沸き上げるばかりで落ち着く気配などまるでない。
 チェアに座るメフィスト、そのメフィストを跨ぐのは黒髪の蒼い瞳、しかしその蒼い瞳は制服のネクタイで巻かれて見る事は出来ない。今の燐は既に熱い楔を根元迄埋め込まれ、制服は床に散らばり、片足にズボンが引っ掛かっている。そのズボンも上下に揺れる振動に負け今にも床に落ちそうだ。燐は黒髪をパサパサと揺らして、同時にぐちゅぐちゅと粘着な音を室内に響かせていた。

「いいぞ、アマイモン」

「ハイ」

 自らの快楽を追って腰を揺する燐の腸内は断続的な締め付けがあり、気持ちがいい。その為掠れた声色なままアマイモンを呼べば、何処か驚きの表情を見せて天井から降りてきた。

「珍しいですね、兄上」

「まあな、コレの中は格別に悦いのだ。流石は我らの兄弟というべきか、こちらもなかなかに上手い」

 アマイモンが言おうとした事はわかる、メフィストも長く存在している悪魔だ。その年月に見合う程に性交等に関して経験豊富である、そのメフィスト自身が生きた年数が20にも満たない燐の性技に溺れそうになっている。両手をメフィストの太股に付いて、腰を揺する。ただ揺するのではなく中を締め付け絶妙な緩急をつけて男の欲を煽る。びくびくと震え、切なげな矯声は嗜虐心を焚き付けそれに捕まり強引に掻き回せば甘く、恍惚に満ちた鳴き声で、更に強くとねだる。正に小悪魔だ。

「それは凄いな、…もう先からダラダラと溢れ出てる」

「舐めてやれ、胸も一緒に弄ってやれば更に悦ぶぞ」

 燐の反り勃つ性器をじっと眺めて、先端から溢れる先走りの透明な液を指先で掬いながらアマイモンは楽しそうに瞳を細める。するりと燐の両脚を後ろから抱えて広げてやれば、興味津々なのかぺろりと先端から舐め始めた。

 当の本人である燐は口端から唾液が溢れて顎先迄滴り、きっと目隠しをしている布の向こうの瞳は蕩けているだろう。強い快楽を与えると悪魔の本能に弄ばれているのか、行為の最中は記憶が曖昧になるのだと燐はよく語っていた。つまりは今の事も終われば燐は記憶に留めていないのだろう、今のメフィストにはそれが好都合だった。

「ひっ、あ、…ああ、っ。そこ、乳首、やだ、っ」

「へえ、キミはこんなに強く乳首をつねられても気持ちいいんだ。はしたないな」

「ちが、っ、ああ、もっと…そこ舐めて…欲し…っ」

 ギリッと容赦なくアマイモンが乳首をつねるとびくりと背を弓なりに反らして鳴く、それと同時に腸内がきゅうと強く締まり、メフィストはやはり痛いのも嫌いではないのだなと一人納得する。ちろちろと先端の溢れる液を舐め掬うだけな舌の動きが焦れったいのか、腰を突き出して緩々と揺らす。

「おねだりも上手ですね、兄上の仕込みですか?」

「そうだ、と言いたい所だが才能の部分もあるな」

 爛々と輝くアマイモンの瞳には既に欲望で埋め尽くされている。それは戦闘狂だと思われるソレでななく目の前のご馳走がある飢えた獣のソレであった。唇を開くと溢れた液でぬるりとした性器を望み通りにくわえ、括れ部分をねっとりと舐める。

「ひっ、…はっ、乳首、…もっ、」

 喉を晒し貪欲に快楽を求めている、しかし思考と体は上手く噛み合っていないのかねだりながらも嫌々と頭を左右に振る、意思の強い燐の事だ、悪魔の本能に抵抗しているのだろう。巻かれたネクタイにはじわりと涙で湿り始めていた。
 だが、アマイモンの快楽ばかりに酔いしれているというのはメフィストからすれば面白くない。燐に任せて動く事のなかったメフィストが両脚を抱えた手を離して下へ落とす、次に苛立ちに任せて多少強く叩き付けるよう突き上げた。

「ひっ、あ、…あああ、あーっ!」

「…っ、う」

 燐のぎゅうと太股に添えていた掌が拳を握りしめ、びくびくと四肢が震えた。もしかして、と思う間は短く脂肪の少ない背に歯を立て、吐精を堪えようと身を固める。その間にぴんと爪先は伸びて、内壁の収縮も容赦なくメフィストの熱を絞り出そうと蠢く、生半可の相手ではこれに溺れてしまうだろうという締め付け。甲高い悲鳴が終われば、荒い呼吸のままがくりと背から抱えるメフィストへ上体を寄せる。

「…兄上」

 僅かに息の乱れたメフィストが声の主に顔を向ければ、その口許にはどろりとした白濁の液。やはり、と自らの思考を再確認しては燐が達したという証拠に吐息を一つ漏らした。
 アマイモンは指先で拭ってはぺろりと舐め、それが無くなるまで繰り返していくとそれがまるで甘露のようだ。

「どうだ、アマイモン?」

「凄く楽しいです、中にも挿れてみたいです」

「…駄目だ、それは許可していない」

「ハイ、すみません」

 表情に変化のない謝罪の真意は読みにくい。けれど、メフィストなりにこの弟が憎い訳ではない。寧ろその逆だ、そうすると多少甘くなるのも仕方ないと項垂れた燐を起こすように下から揺さぶるよう小刻みに突き上げる。

「っあ、ん、…んっ」

「まあ、まだコレも満足していない。その態度次第では許可してやってもいいだろう」

 そう告げるとこくりとアマイモンは頷く。きっとアマイモンは燐という存在に執着するだろう、戦いが始まり殺し合いになろうともその執着が段々とアマイモンの鎖となる。そうすればアマイモンはルークの駒へと早変わり、軋む椅子の音に耳を傾けながらメフィストは吊り上がる口角を止められない。

 悪魔の愛し方はやはり歪んでいるようだ、人の営みに200年関わってきた今でさえ正しい愛し方などわからない。ただ、本当に愛しいのだと耳から本能に食われている脳に囁きかけた。






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KING





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