@豪鬼
@気分的にパパ炎寺がドイツ留学の話をした直後らへん





ついてこい、そう言われて腕をひかれた。



部誌を書き終わって、さぁ帰るか。そう思った矢先のこと。いきなりのことにぽかんと開いた口からは空気が漏れるだけだった。
自分よりも若干温度の高い手に掴まれた腕が熱い。触れている場所が、熱い。



校門に着いた辺りで漸く思考が追いついた。何処に行くんだ、そう少し早口で問いかけても返ってくるのは無言だけ。
焦ったように何度も名前を呼ぶと、ふっと一瞬視線を寄越したが直ぐに前を見据えた。代わりに俺の腕を掴んだ手の力が抜ける。

そして再び言われる言葉。

“ついてこい”


だが今度はさっきよりもちょっと弱々しい。あぁもう、そんな目で見るなんて卑怯だろう。


はぁ、と小さく息を吐くと手を伸ばした。今度は俺から。
さっき俺がされたように腕を掴むとじわりと熱が伝わってくる。温かい。





何処に行くのかなんて知らない。
こいつが言う気がないなら別にそれでもいい。
だけど、

“ついていく”



答えなんて初めから決まってる。
掴んだ腕から伝わる熱の温かさが同じになって、俺とお前がひとつになった気がして。




何処に行くのかなんて知らない。
興味もない。

隣にこいつがいるなら。
こいつの熱を感じられるなら。

何処だろうと俺は笑っていられる。
だから行こう、ついていくから。


例えそこが地獄でも。


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