@フィデモ
@主人と執事の主従パロ
@主人デモーニオ執事フィディオ
@フィディオ年上設定






小さい頃からずっと一緒で、いつも優しくてお兄ちゃんみたいで。
隣に並んで歩くのが当たり前だと思っていた。


いつからだろう。
彼が僕の半歩後ろを歩くようになったのは。






「デモーニオ様。」


軽く肩を叩かれて、自分が寝ていたことに気付く。
今、俺は自室で明日のスケジュールの確認をしていた…はずなんだけど、と重い瞼をゆっくり引き上げると、俺の顔を覗き込んでいた大きな蒼い目とぶつかった。



「…フィディオ」

ぼんやりしたまま目の前の人の名前を呼べば、呼ばれたその人は少し呆れたように溜息を吐いて「もう少しで終わりますから我慢してください」と相変わらずの冷めた調子で言った。

昔は俺と一緒に笑って、遊んでくれたのになぁ…なんて鈍い頭で思いながら頷けば、満足したのか、ふわりと笑って頭をぽんぽんと撫でてくれる。
その動作があったかくて、再度落ちそうになる瞼に渇を入れて話に聞き入った。

なんとか明日のスケジュールの確認が終わって、「やっと寝れる」と眠たい目を擦りながら大きな欠伸を溢す。
そのまま眠気に負けて机に突っ伏して寝ようとする肩を再度軽く叩かれて、なぁに、と視線を少し上げた。そこにあったのはさっき一瞬見せた笑顔なんて欠片もない顔で、「寝るのならベッドに行ってください」と一言言い放つと机の上の書類を片付け始める。一枚一枚丁寧に揃えながら片付けるその綺麗な手にぼんやりと視線を注いで、「昔みたいには戻れないのかな、」なんて頭の中で考えた。



昔みたいに隣を歩いて、笑って、遊んで、手を繋いで。
あの頃は毎日が楽しくて。一緒にいられることがすごく嬉しくて、こんな関係がずっと続くと思っていた。



「…デモーニオ様?」


名前を呼ばれてハッと思考を停止させて見上げれば、既に片付けは終わったようで。
ぼんやりとしていた俺を不思議そうに見ながら「どうかしましたか?」とすごく事務的な問いが投げかけられた。いつも模範のように発せられる事務的な対応はすごく冷たくて、俺は大嫌いだった。



「フィディオ…俺ね、すっごく眠いの。」

だから、ベッドまで連れてって。



そう言って手を伸ばす。
ゆっくりと差し出された手を見て、目の前の人はぴくりと一瞬だけ目を細めると「…それは命令ですか?」と返された。


「っ…、」
命令だったら傍にいてくれるの?隣にいてくれるの?
笑って、遊んで、手を繋いで、、、あいしてくれるの?



「……めいれい、だっ!」



苦しい。
命令だと言わなければ、この人は行ってしまう。失いたくない。
例えどんなに嫌われても、表面上だけでもいいから、あいしてほしい。

命令でしか縛り付けられない自分が、悔しい。悔しさからか、ぽろりと零れた涙に唇をきつく噛み締めて上目遣いで見上げれば、その人は驚いたように目を大きくさせて、でもすぐにいつもの様子に戻ると「仰せのままに。」と俺の冷たくなった手を取った。


その手はとても、暖かかった。



主人と執事の関係性:01


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