SLAM DUNK | ナノ


「…プリント?」
「うん、明日提出だから忘れるなよ?」

そんなものあったか…?石井の言葉に首を傾げる。スポーツバッグを漁ってみるもそれらしきものは見当たらない。

「ナイ」
「えぇ…この前もその前もやってなくて怒られただろ。今回こそは出さないと補習だよ多分」
「………」

ふぅー、と息を吐き出す。多分机の中にあるはずだ。ただでさえウルセー小池(最近覚えた)の授業だ。補習になったら部活にも出れねぇだろうからそれは避けたい。
制服に着替え終わって部室から出る。昇降口で石井と別れて教室へ向かった。外はすっかり日も暮れて真っ暗だ。
ガラッと教室の扉を開けて側にある電気のスイッチを押す。

「うお」

そのまま自分の席に向かおうとしたら黒板近くの席に突っ伏して寝てる女がいてビビった。こんな暗い教室に誰かいるとは思わなかった。
ひとまず無視して自分の机の中を漁ってプリントを探す。それらしきプリントが数枚出てきて眉を顰めた。どれだよ…
教室前方でまだ寝てる背中を眺める。アイツに聞くか。出てきたプリントを手にソイツに近付いた。

「…おい」
「………」
「オイ」

声をかけただけじゃ起きなくて肩をポンポンと叩く。数回叩いたところで唸りながら体を起こした。

「んぁ…?」
「………」
「え、だれ………あ、るかわくん…?」

のろのろ顔を上げたソイツの視界に俺が入る。早速本題を話した。

「お前、明日提出の数学のプリント分かるか?」
「え、えぇ?プリント?…コレだよ」

そう言うとさっきまで寝てて下敷きにしていたプリントを俺に見せた。解答欄は全部埋まっている。

「えー…今何時?」
「7時半」
「エッ!うそーめっちゃ寝ちゃった…いつも寝てる流川くんに起こされるなんてね」

へへへ、なんて笑ってるソイツを横目に机から出してきた数枚のプリントを見る。必要なプリントだけバッグに入れて要らないのはまた机に戻した。

「流川くん忘れ物?あ、プリント取りに来たの?それ、家でやりたくないから学校で済ませちゃおうと思って…疲れたからちょっと寝ようと思ってただけなんだけど」

聞いてもいないのに喋り出すソイツの言葉を聞き流しながらバッグを背負い直した。家でやりたくない…俺はその行為をやらなきゃいけないと思うとウンザリした。

「あ」
「?」
「お前、それ貸してくれ」
「ん?」
「プリント」

自分で考えなくても写せば早ぇじゃねーか。ん、と手を差し出して貸せと訴える。

「えーでも答え合ってるか分かんないよ?」
「かまわん」
「んんー…じゃあ…」

おずおずと差し出されたプリントを受け取る。プリントに書かれた名前を見てソイツの名前を知った。

「ちゃんと明日持って来てね」
「オウ」
「じゃあ帰ろっか」

バッグにプリントを突っ込んで2人揃って教室を出た。


次の日。プリントの答えを写したのが小池にバレて、プリントを貸したアイツ共々怒られた。



2017.11/01 SDワンライ提出作品