付かず離れず


佐助×伊達←幸村

共通点がひとつも無くても、離れられない仲もある。
そう思ったのは己の部下とかの独眼竜が一緒に居るのを見た時だ。
彼らの間には他とは違う感情があるのが分かる。
それに気付いたのは己の中にある憧れの感情を超えたものがあることに気付いた時だ。

忍びと一国一城の主。
違い過ぎて比べる事が滑稽なほど。
共通点など一つもないのに彼らは引き寄せられるように寄り添っている。
一分(いちぶ)の距離を残して。

「政宗殿!」
「An?真田幸村。どうかしたかい?」
「某と手合わせ願いたい!」

そう言えば、目を輝かせる彼に己が高揚するのを感じる。
一太刀受けるたびに受けられるたびに彼の稲妻が体中を迸(ほとばし)る。
稲妻を宿す蒼の瞳は真っ直ぐに己に向けられているというのに。

「ぬぅあああ!」
「HA!温いな真田。もっと強くなってから出直してこい」

そう言って彼は背を向けてしまう。

「じゃあな。今日のところは帰るぜ。Bye!」
「ま、政宗殿ぉぉ!」
「じゃーね、独眼竜」

馬に跨って早々に彼方へ行ってしまった青い背中を半ば呆然と見つめていた幸村は徐に傍らに立つ忍びを見上げた。
へらりとした笑みは変わらずとも、その瞳は……

(共通点、無くもなかったのか……)

稲妻を宿す彼の瞳と、凪いだ風のように静かな瞳は、互いをその瞳に映した時だけ、とてもよく似た色を宿すのだと、幸村はぼんやりと思った。





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