何だかんだ言って、仲良しなんです


「うああああああ〜ん!!」

悲痛な叫びが轟いたことに、政宗は深く溜息をついた。
またここにむかっているのだろうかと政宗が己の右目に視線を投げると、肩を竦めて首を振られるばかり。
二人は同時に溜息をはいた。
ギャルルルという地面を擦る嫌な音が近付いてきたと思ったら、不規則な動きで暴れている金吾が現れた。

「まざぶべぐ〜ん!!」
「ああ…Ok.とりあえず落ち着け」

オレの城が滅茶苦茶だ。
諦めの入った声音に金吾が回転をやめるが、その姿は実に滑稽である。
しかし彼が受ける仕打ちを考えれば、笑うのもかわいそうで。

「ほら、これをやるからその顔をなんとかしろ。小十郎、これをなんとか頼む」
「……御意」
「悪いな」

一瞬言葉に詰まった小十郎に済まなそうな視線を寄こした後、金吾の背を押して政宗は歩き出した。
見るも無残な庭に、小十郎はまたも深く溜息をつくばかり。


「いつまで泣いてんだよ…」
「い、いたいよ。政宗君」

ぐずぐずと鼻水と涙でぐしゃぐしゃな顔を少々乱暴に手拭いで拭っている政宗はあきれ顔。
それを見た金吾は申し訳なさそうに、だがどこか嬉しそうにされるがままだ。

「…で?今度はどうしたんだよ」
「うん、三成君がね…」

よっぽど怖かったのか、また目を潤ませて語る金吾によしよしと頭(正確には兜だが)を撫でる。
金吾の語りが終わるころを見計らって政宗は立ち上がった。
それにあわてて政宗の袖をつかんだ金吾は嫌われたかと不安な表情を浮かべた。
そんな金吾に優しく笑んで、

「昼、食ってくか?」
「え…いいの?僕なんかが一緒で」
「お前以上に美味そうに食ってくれる奴はいないし、作り甲斐があるぜ」
「やったあ!じゃ、じゃあ手伝うよ」

早速前を歩く金吾に政宗はふっと小さく笑って、

「…Ok.頼りにしてる」

「何か言った?」
「別に何でもねえよ。――何喰うかね」
「鍋にしようよ!」
「アンタはいつもそれだな」

飽きないのかと思う政宗は突然振り返った金吾に僅かばかり驚いた。

「だって、政宗君が作る鍋は特別美味しいんだ!」
「……そりゃ、どうも」

にっこりと笑う金吾に政宗も足を速めた。

「小十郎も成実も綱元も呼ぶか」
「うん!皆で食べたほうがおいしいよねっ」

二人は笑い合って、勝手場へと向かった。



君はけっこう癒し系
(小早川、これ土産な。西軍の奴らの分も入れておいた)
(わ、ずんだもちだ!ありがとう政宗君)




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