泣きじゃくる天羽
もう二度とこんな真似しないでくれ。ぎゅうぎゅうに抱きしめながら、彼は子供みたいに泣いた。私が勝手にやった事なので、彼が責任を感じる必要は何処にもないのだけれど。優しいこの子は私を傷つけた事に、とことん自分を責めている。
ごめん。
もうこんなことしないで。
繰り返される言葉や止めどない涙から、もう月彦は私から離れてしまうんじゃないかと思って、そこには後悔したし、こわかった。だけど私を抱きしめる腕の強さから、そんな心配も杞憂だったかな、と思う。
「月彦、ねぇ、顔が見たい」
「ひくっ、ひっく…う、っく！」
べそべそと一生懸命泣いている月彦だけど、それでも私の言葉にきちんと応えて、もそもそ動いた月彦の顔が正面にくる。うつむいた顔の表情はよく見えなかったけれど、下にぼとぼと落ちていく涙の量がとにかくすごくて、そんなに私の為に泣いてくれるの、と不謹慎にも嬉しくなってしまった。
月彦の両頬を両手で包んで持ち上げる。すぐに両手が水浸しになった。
「すんっ、ごめん、ごめん…」
「月彦、ごめんね」
ごめんね。もう二度とするなと言われても、私は何度だって同じ事をするだろう。
月彦がまた暴走してしまったら、飛び出して止める。怪我なんて全然痛くないよ。少しも恐くない。
だからお願い。手を離さないで。
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