小説(原作・パロ) | ナノ


▼ 仔鴇

■日記ログ。王道ネタ 中条&仔鴇(10歳前後)


「………………。」
「おー。来たな、王道ネタ」

目が覚めて、隣を見ると昨日までそこにいた美柴鴇はおらず。
代わりにいたのは、ずいぶんと縮んだ……というよりも幼くなった、おそらくは同一人物。

「どうしたお前。ウサギ追いかけて背が縮むクッキーでも食ったか?」
「ッ…冗談言ってる場合じゃない」

10歳前後だろうと思う。
いつもの彼と変わらず 感情を抑えるような言い方。だけどまだ子供らしい声。

「へぇ。そんな声だったのか子供ん時」
「………。」
懲りずにからかうと 憮然と一瞥を食らう。
身長差のおかげで 大体いつも見上げられているから、上目でも大して何の感情も起こりはしない。
しかし、そんな子供じみた怒った表情なんて、初めてだった。

ベッドに座る子供は自分に起こった不可解な事実に悩み 自分の手の平を真剣に見つめている。
俯いているその頭に手を置いて、くしゃり と髪を撫でると バシッと思い切り振り払われた。

「痛ぇなおい」
「そうゆう触り方するな」
「??は?そうゆうってどうゆう?」
「…………」
意味が分からず 問いかけても、子供は口を一文字にしたまま答えようとはしない。
なんか機嫌損ねたなぁと自覚しつつ 覗き込んで見ると ふいっと顔を背ける。

「何だよ。何に怒ってんだお前?」
「…………。」
「おーい、こっち向きなさーい」
「…………。」
「美柴くーん」

この辺りでいつもなら「…うるさい」とか言いつつ 言う事聞くんだが…。

「…………。」
ご覧の通り、拗ねたまま。やれやれ。大人の時より扱いにくい。

どうしたもんかねぇ と天井に向かって溜息を吐くと、美柴が少し顔を上げたのが横目に見えた。
面倒くさがっているような溜息だったから、気に掛かったのかもしれない。ちらりと恐る恐るこちらの様子を伺っている。
やっぱり中身も少しは子供になってんだな、と思いつつ焦らず、そのまま顔を合わせずにいることにする。

「…………。」
沈黙が落ち着かないらしい。サイズの合わない未来の自分の服を 何度か居心地悪げに直している。

「−……みたいに…」
「…あ?」
「……子供みたいに、触るから…」

なるほど、子供扱いするなってわけだ。
そんな事で拗ねるなんて、ずいぶんと可愛らしい所がある。

「つっても、今のお前は見た目まんま子供だろーが」
「…そうだけど……でも、嫌だ。子供じゃない。」

強情な言い様に、思わず クスリと笑ってしまった。
またキリリと睨みつけられる。隠さずに 悪どい笑みを返した。

「…子供じゃない触り方なら良いんだな?」
「??…………ッ!?」

言葉の相違に気がついた美柴が ビクリと肩を張った。
抱き寄せようとする隙間を 小さな子供はするりと抜け出す。その身体がベッドから降りる前に 何とか捕獲に成功した。

「放せ変態ッ」
「子供じゃないって言っただろ?」
「そうゆう意味で言ってない」
「そうゆう意味って?今からどうゆう事されると思ってるんだ美柴くん?」
「ッ…〜〜」

ジタバタと一心に暴れる身体は、大人の時とは比較にならないほど弱くて。後ろから腕に閉じ込めてしまえば逃がすわけもない。
あとはそちらが暴れ疲れるまで待つ。

そうして目一杯に暴れて体力を使い切った子供は 息切れのままこちらを振り返った。その目が 大人の時には決して見ない 願うような瞳だった。
降参して しかしこれから始まるだろう時間に少しだけ怯えているように…。

「……中条さん…」

誓って言う。
子供は趣味では無い。

「……痛いのは…嫌だ…」
子供のこんな甘えた声を許すようなタチじゃあない。

「……ったく分かったよ!何もしねぇーから早く元に戻れ」
「……どうやって、戻ればいい…?」

不安げに首を傾げて見上げるなんて仕草は、大人になったらしなくなったんだろう。
問題は、これが子供だろうが大人だろうが 〔美柴鴇〕だということだ。

「……あー…ちょ、やっぱ一回ヤッとくか。な〜んかもったいねぇ気がしてき−ッガハッ…!!」

そう、だから、こいつの肘鉄はこのサイズでも 敵に回したくない脅威だ。

「変態。」

清々しいほど冷たい目で、子供はそう言った。



■それが美柴鴇ならショタコンと言われても厭わない中条さん。笑
08.8/12



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