小説 | ナノ


▼ 続,ランデブー


信じられるだろうか。
あの、性欲なんて微塵もないって顔をしている美柴鴇が 妖しく瞳を光らせて自分の上に覆いかぶさっている。
たったそれだけで下半身が100%臨戦態勢になっていて、今すぐにでも貫いてしまいたいと思ったとしても、誰にも俺を責められはしないはずだ。

「寝かせない。」
とてもいやらしくて、凛とした声だった。
そのたった一言で身体も心も乱される。
状態は手首を縛られて押し倒されている屈辱的体勢。
けれど、今の自分はそれを許している。
美柴が相手ならば構わないと、そう思っている。

それは他の誰にも置いたことのない、絶対的な信頼と親愛。
本人には、決して教えてやらない事実だ。

「…………」
妙に満足気に笑んだ中条に、美柴は むと睨み返す。
どうせ無理だとでも思っているのだろう。いつもいつも優位に事を進める中条に、一泡吹かせてやりたくなる。参ったと、言わせたい。

身体を起こし 勃ちあがっている熱を両手で包む。
その熱さと硬さに 言い知れない興奮を抱く。グツグツと静かに沸き上がるマグマのようだ。
グチグチと出口を虐めて 軸を擦り上げる。は、と中条が息を詰まらせる。
その堪えるような吐息に 鳥肌が立った。躊躇うことなく腰元に屈みこんで、唇を開いた。

「っお、前」
性器の先端に舌が這う感触に、思わず中条は軽く上半身を起こした。
軸を両手で握り支えた美柴が、伸ばした舌で溢れる体液を舐めている。
その光景だけで 欲が弾け飛びそうだ。
「…ッくそ…!」
普段、美柴はあまり中条に口淫をしない。なんとなく、そうゆう行為に及ぶ展開にならないのだ。
どちらかと言えば中条が毎度好きなように美柴をぐずぐずにして 互いにそれで満足している。
口でと思ったことはあるが、それでもやはり美柴の中でイけるのが気持ちも身体も一番満たされると分かっている。
だから、無理に「銜えろ」と強要したこともない。
つまり、慣れてない。美柴のこの姿に。
「〜…ッ」
中条の困惑をよそに、美柴は一通り舌で濡らし、今度はしっかりと銜え込んだ。
「ん、ん、」
狭い口内で熱の塊を上下しようと 美柴が微かに頭を揺らす。くぐもった声が喉の奥から漏れる。
もちろん美柴も慣れていない。眉を苦しげに微かに寄せて 支える両手にも少し力が入る。

「…っ」
無理するな、と言おうと思ったが、やはりこうなると 喜んでしまうのが男というものだ。
縛られた両手が美柴の髪を乱して、律動を促すようにその頭を押さえ込んでは軽く引く。
「ん、…ふッ、ん」
中条の手も借りて 徐々に飲み込む動きが大きくなる。苦しげな呼吸が鼻に抜けるが、それでも美柴は抗ったりはしなかった。
少しずつ喉の奥まで開いてきた美柴の口内で、唾液と体液が混じり合う。
「っ、く…ッ」
じゅ、じゅ、と濡れた軸に美柴が吸いつく音に紛れて、中条が先程より色濃い吐息を吐いた。
このまま果ててしまいそうなぐらい、息が上がる。

「!」
ビクリと口の中で震えたそれを、美柴は許さなかった。
支えていた手が 急に思い出したように 力強く根元を握り締めた。
はふと性器から口を離して、中条を見上げる。
「い…!〜つっ!」
痛いほど強く握られて 中条は少し背を丸めた。
イくタイミングを逃したジレンマと苦しさをなんとか耐えて 見た先にあるのは、
「……………。」
腰元からこちらの様子をじっと伺う美柴の顔。しかも、頬の傍で熱を握り締めたまま。
「〜お前本当…ッあとで後悔するぞ…」
吐き出せなかった苦悶をなんとかやり過ごし、中条は美柴を恨めしく見る。
唾液やら何やらで ぬらぬらと濡れた唇は とてつもなくいやらしかった。
そしてそれ以上に、憎らしい。
なにせ、これに一番興奮しているのは 美柴本人なのだ。

「……辛そうだな…?」
「〜…どの口が言うんだかな」
「…いつも、自分が俺にやる事だ」
そうか、これは仕返しか。とするならば、
「……なるほどな、これは立派なお仕置きだ」
「……。」
少し余裕を取り戻した中条を見て、美柴は根元を塞き止めたまま、指先で抉るように体液が溢れる出口を嬲った。
「っ…っく!」
「なんて言えば許してもらえるかも、分かるだろ」
分かる。イかせてくれ 続きをしてくれと懇願すればいいのだ。
「…………〜〜〜」
勘弁してくれ、と思ったが 見上げてくる美柴を可愛いと思っている時点で負けだろう。
なにせ、高ぶった軸に頬づりしてもおかしくない表情だ。

「、」
そこで中条にも にやりと笑みが浮かんだ。
「?」
頭に置かれていた中条の両手が、美柴の顎を支えるように持った。くいっと見上げさせられ 美柴が怪訝に眉を潜めた。
今の今まで追い込まれていた中条は 苦しげながらも楽しそうな笑みを浮かべている。

「そんなに、俺が欲しいのか…?」
そう囁くと 美柴は一拍 目をぱちくりと瞬いた。
これは、どうゆう展開だ。

「俺のを銜えたくて我慢できないなら、お前の口に出してやってもいい。だから、銜えろよ」
「………っ!?」
やられた。
これでは立場が逆転してしまう。
美柴は 「な、!?」と 中条の思わぬ切り返しに動揺してしまった。
中条はその反応を逃がさず 縛られた両手を美柴に見せつける。

「俺の手はこうだから、お前を満足させてやれないなぁ。でも、美柴がどうしても俺を欲しいなら、もう一度舐めてくれよ。そしたら、好きなだけくれてやる」
そうして、ほら と美柴の唇の上に 濡れた先端を乗せた。
指先で ふにふに と柔らかい唇を開けようとした。
思い通りにいかず 美柴は むーと中条を見上げる。その不満そうな上目遣いに中条は笑う。

「どうした…?お前、俺に「続きしてくれ」って言わせたかったんだろ。ちゃーんと言ったぜ?」
「〜…これじゃ違、…!」
反論しようとした口内に ずぶと先端をねじ込む。
んん!と反射的に美柴は頭を引こうとしたが、その後頭部は押さえつけられて逃げられなかった。
やはり後ろ手に縛っておくんだった、と思ったところでもう遅い。
「ん、ん、んぅ」
舌の上を熱い硬さと体液が滑っていくと、甘ったるい吐息をこぼれて 口内に受け入れてしまった。
確かに、このまま口の中に中条が欲しかった。上下する動きに合わせて 吸いつくと
「、…ッ」
中条が息を詰める。それだけで、充分だった。

舌でじっとりと嬲れば 満足そうに美柴と名を呼ぶ。
チラリと見上げると、息を上げた余裕のない笑みがこちらを見ている。
焦らすように浅く銜えていれば、もっと深く入れたい と縛られた両手が 頭を押さえ込む。
自分を見て、感じて、欲してくれている。

もう参ったと言わせたも同然だ。

ようやく、美柴は握りしめていた根元を解放した。
同時に 深く飲み込んで 喉の奥で先端を擦った。その瞬間、
「っん!」
ぞわり。口の中で奇妙な快楽を見つけた。
上顎の裏辺り。そこに中条が当たると んふと喉から甘い声が溢れた。
高ぶる欲情に耐え切れず、美柴は片手で自分の熱に触れ始める。けれど どこもかしこも動かさなくてはいられない状態で、上手く扱えずにいた。
もどかしくて、そのジレンマから逃げるように 中条を追い込む。

「…っ!」
「んん…ッ」
夢中になって頭を揺らして口淫を繰り返す内に、中条が くと唇を噛んで少し背を丸めた。
ぎゅっと両手で強く頭を押さえ込まれ 美柴は喉のより一層奥に軸を飲み込み、眉を寄せた。ドクンと音が聞こえそうなほど、軸が震えて 弾けた。

「っごほ!〜ケホ…!」
容赦のない性器の爆発に、むせ返った美柴は咄嗟に顔を背ける。
唇から パタパタと体液と唾液がシーツに落ちた。
「〜ッコホ…は、あ…」
咳き込む美柴は 苦しげに肩で息をしていて 時折声にならない声を上げる。
扱いきれずにいる自分の熱は まだ刺激を求めて勃ちあがっていた。

「…………ッケホ…っ」
濡れた口元を拭うと ゆっくり顔を上げた。
息苦しさに涙ぐんだ眼は、まだ静かな欲情を潜ませていた。
自分でもはっきりと分かるぐらい 熱が身体に篭っている。
あー…と吐精に脱力している中条を見て、自然と唇が舌舐りをした。

もっと、もっと欲しい。

「……足りない…」

そう囁いて、中条の上に跨る美柴は 上着をベッドの外に脱ぎ捨てた。
驚く中条を無視して 緩くなった手首のシャツをもう一度キュッと締め直す。

「!…お前、本当明日後悔するぞ…」
「……なら、もう止めるか…?」
「…………………いや、」
じっと見つめて投げかけられた問い掛けに、中条は観念して小さく笑った。

「泣いたって止めねぇーよ」



■何度も何度も騙されっちゃって どうにもこうにも 頭にくるぜ (ポーカーフェイス/GUMI)⇒coming soon…?




[ back to top ]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -