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▼ ゴッドイーター2

■少年妄想。ゴッドイーターパロ第二段。




「緊急速報、緊急速報。外部居住区西地区へディアウス・ピターが侵入。人命に甚大な被害が出ている模様。防衛班は全員ただちに現場へ急行せよ。繰り返します、」

アナグラ、エントランスにオペレーターの厳しい声と警報ベルが高らかに響き渡った。


「…まぁた厄介なのが飛び込んじまったもんだなぁ」
「……防衛班だけでやれるかしら」
「どうにも出来なきゃ、お呼びがかかる…」

ゴッドイーター第一部隊、討伐班は 与えられたミッションの作戦会議を行っていた。


「……西地区…って」
「……トキさん達の居るエリアの下手だろ…」
会議に参加していた優希とアキラは、流れたアナウンスに顔色を変えた。

「……いや、でも神機使いの家族は1番安全な区域に割り当てられてるから」
「…っ!!」
アキラが小声でそう宥めるのを無視し、優希は渡された作戦ファイルを放り捨てた。

「っおい優希!?」
「あ!おいコラ新型ぁ!!どこ行く!?」
アキラが引き止める間もなく、他のメンバーが叱咤する声も聞き入れず。
優希は切迫した表情で駆け出していた。


出撃ゲート前。優希はターミナルで出撃準備を整える。
大人しく眠っていた神機が目を覚まし、準備運動のごとく変形を繰り返す。
何連もあるウエストポーチに バレットや体力強化剤を詰め込んでいく。

脳裏にモニター映像やシュミレーション映像が浮かんでは消えていく。
相手はディアウス・ピター、雷撃による猛攻と鉄壁の守りを誇り 正に帝王の名を冠するに相応しいアラガミ。
はと自分の指が微かに震えていると気づいた。しかし恐れている場合ではない。

ぎゅっと手のひらを握って、神機を掴んだ。
「一人でやれるわけねぇーだろ」
隣のターミナルにアキラが居た。同じようにバレットを選別し 神機に飲み込ませる。
照れ臭いのか アキラはちらりともこちらを見ず、ゲートに向かって歩き始めた。
銃身型の大型神機を 肩にかけて、ゲートの開錠を待つ。
その背中に、優希はふと笑った。

「……ありがと」


ゲートの先に広がる荒野には、小型のヘリが待機していた。
運転席には 何も知らない素振りで中年の操縦士が乗り込んでいる。
ヘリのドアは開放されていて、二人が乗り込むのを待っているようだった。

「……送迎付?」
「え、お前が頼んだんじゃねーの?」
ぽかんとする二人に 操縦者は早くしろと親指で後部を示す。
「俺の娘家族も西地区だ。様子見に行くついでだ、乗ってけ」
「ははっ おっさんも処分されちまうんじゃない?」
嬉しそうにアキラがからかうと、男性はにやりと笑った。
「お前らに脅されて飛ばしたって言うからいいんだよ」
「ぁあ!?」
「大人って卑怯だよねー」
ひらりと乗り込み ドアを閉めようとしたところで、ガシリ!とそれを遮る手があった。

「ちょーっと待て。何勝手してんだお前ら」

リンドウだった。
フェンリル極東支部第一部隊のリーダー、優希達の上司 お目付け役である。
いつものように咥え煙草で 呆れたという顔をしていた。
優希は負けずに強い目でリンドウを見返す。

「討伐に向かいます」
「駄目だ」
「どうしてですか!」
「相手はピターだ。まだ新米のお前らで太刀打ち出来るのか?一般市民もうじゃうじゃ逃げ回ってる状況だ」

ヘリ内部のモニターには 悲惨な状況がライブ中継で流れ続けている。
ビターの繰り出す電球攻撃は威力も範囲も壮大だ。
踏ん張っている防衛班もじりじりと後退し、ビターの侵入を阻止しきれずにいる様子だった。

「ただぶっ飛ばしてくればいいってもんじゃねぇ。防衛と討伐は違うんだ」

その状況下で 逃げ遅れている一般市民の誘導にも手を回している。瞬間、アップになった防衛班の表情は苦しそうだった。

「だいたいな、優希…今唯一の新型にもし万が一があったとしたら 俺の首が宇宙までぶっ飛ぶ。この年で職無しはキツイぜ」

リンドウは飄々とした口調でありながらも、とても厳しい目をしていた。
彼は極東支部で唯一 大型アラガミを単身で討伐した経験を持つゴッドイーター。
強くそして誰よりも命の大切さを知っているリーダーだ。
自分達を心配しての説得だとは分かっている。けれど、ここで引き下がりたくはなかった。

「リンドウさんの首が飛んじゃったら、拾いに行ってあげますよ」
「つか、無職でもいいじゃない?下じゃ流行ってるぜ、ニートっての」

優希もアキラも 軽口を言いつつ、ヘリから降りる素振りは見せなかった。
むしろ「飛ばして」と操縦者に告げる。
プロペラが回り始め、リンドウは強風に煽られながらも 優希の腕を掴んだ。

「まだ討伐班にゃあ何の指示も出てない。今は防衛班に任せとくってもんだ!」
「人が犠牲になっているのに何もしないなんて、それこそ新型なんて、ただのお飾りじゃないですか…!!」
「あぁそうだ今はまだお前さんなんかお飾りでいいんだよ!」
「そんなの嫌だ!!!」

ぼぼぼとプロペラの爆音の中、リーダーとルーキーが叫ぶ。
「〜おいもう飛ぶって!なぁリーダーさん分かったからさ!じゃあ勝手に俺達が出てったって事にしといてくれよ、それなら問題ねぇーだろ!!」
アキラがリンドウの手を引き剥がしにかかった。ヘリが浮き始めている。
しかしリンドウはより強く優希の腕を掴み、ぐいと引き寄せた。胸倉を掴まれて そのままヘリから振るい落とされそうになる。
「っや!」
「ちょ、マジ落ちるって!!」
抵抗する優希とそれを支えるアキラを見て、リンドウは何故か柔く笑った。
一瞬、優希は 「え」とその表情に呆気にとられる。

リンドウの声は、優希にだけ聞こえた。

「死ぬんじゃねぇーぞ」

それはミッションへ向かう前、いつもリンドウが優希達に掛ける言葉だった。
行って来い、と同じ意味の 強くやさしい言葉。

「っ………」
リンドウは優希とアキラの意思を試したのだ。そう気がついてムカつく反面、妙に嬉しかった。思わず、にやんと強気の笑みが零れる。

「…新型なめんなよ」

そう言って、リンドウの手を振り払った。



高く高く高く。
ルーキー二人を乗せたヘリが飛んでいった。

「………あー…まぁた減給だよったく」
「…ふふ、それで済むかしらね?」

ぷかーと煙草の煙を吹くリンドウの背中を、サクヤがバシリ!と叩いて笑った。

「待ちましょう、きっと帰ってくるから」



■討伐シーンも書きたい。まちゃ登場させたい!!
以下、ルーキー待ちのリーダー達。




優希達を送り出したリンドウとサクヤは、二人の勇姿をモニターで見守ろうとアナグラに戻った。
ゲートを開錠すると、こちらにもアラガミに負けず劣らぬ厄介な侵入者がいた。

「……これはこれは。支部長がわざわざお出ましとは」
フェンリル極東支部を統括する支部長、ヨハネス・フォン・シックザール。
戻ってきたリンドウとサクヤを振り返り わざとらしくエントランスを見渡す。

「…リンドウ君、第一部隊のメンバーが足りないように見えるが?」
「……あー…」
アナグラには情報網が張り巡らされている。
優希達が出て行ったことなぞお見通しだろう。だからこうしてリンドウの前に出てきたのだ。
リンドウは 曖昧に笑って肩をすくめた。

「すんませんねぇ、うちの班の子供二人が遊びに行きたいってワガママ言うもんで」
「それを止めるのが君の仕事だ」
「子供は外で遊んだほうが育つでしょう?」
「新型はまだ不安定だ。ビターの相手などまだ、」
「ままま!そう怖い顔なさらずにー。あいつ等がどこまえやれるか、見ててやりましょーよ、ねぇ?」

視線でモニターを示す。ちょうど優希達が現場へ到着したところだった。
上空に飛んでいるマスコミや防衛班のヘリを蹴散らして、第一部隊きっての精鋭を乗せたヘリが アラガミの真上でフリーズした。

「……あいつ等もね、それなりに命賭けて頑張ってんですよ。だから、ちょっとぐらい……任せてやってくれませんかね?」

飛び降りる二つの影を見て、支部長はリンドウを振り返った。

「新型に何かあったら、」
「処分は受けますよ」
「第一班全員の連帯責任とする」
「……おー、そりゃなんとも手厳しい」
「当然のことだ。新型と旧型では在庫数が違う。」
「…………在庫、ねぇ?」

キン、と張り詰めた空気がエントランスを支配する。
リンドウの口元から 煙草の灰が落ちて、床を焦がした。

「………………」
支部長は 一度ため息を吐いて、エントランスを出て行った。
すれ違いざまに、リンドウに小声を零す。

「次の特務がある。これが済んだら私の部屋へ」
聞き逃さなかったリンドウはわざとらしく 両手を広げる。
「あーあ、デートばかりで疲れちゃうなー」
茶化されるのが嫌いな支部長は 厳しい顔で振り返った。

「全エリア禁煙という処罰もありえるな」
「…………仰せのままに」

閉じられたエレベーターに、第一班は苦々しい視線を送った。




■自己満足万歳!
リンドウは声が平田さんなので 飄々とタンカ切るのが1番萌えます。




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