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▼ ゴッドイーター

■「ゴッドイーター」というゲームをパロしたものです。
ゲーム自体はざっくり説明すると、『特殊な力、特殊な武器に順応した選ばれた人間「ゴッドイーター」達が日々命を懸けて巨大な化け物と戦ってる』てな感じ。(本当ざっくり/笑)
ゲームを知らない方にはちょっと世界観が掴みきれないかもですが、雰囲気だけ楽しんでいただければ(´∀`;;)







今から50年以上先の未来。
世界は”神”によって喰い荒らされていた。

突如地球に現れた細胞組織。
多種多様で凶暴な生命体。
それらはそこに存在しているすべてを捕食し、取り込み、そして人間を遥かに上回る進化を続けていく。

人類の天敵。
絶対の捕食者。
世界を破壊するもの。

人々はその脅威を「アラガミ」と呼んだ。



アラガミには既存の武器は通用しない。なにせその武器すら捕食してしまう。
最近では「ミサイルを口から発射するアラガミ」が目撃されているぐらいだ。
軍や政府は無力化し、人々はただ人類の終焉を待つ道しか残されていなかった。

そんな絶対的脅威であるアラガミを、唯一討伐撃退できる手段を持った者達がいた。
ゴッドイーター。「神を喰らう者」
適正試験の合否によって特殊な生命兵器「神機」を扱うことが出来る、選ばれた人間。



まさか”それ”に、自分達が選ばれる日が来るなんて、思ってもみなかった。



何万人と集められた子供達の中で、たった数名の子供が 神機に選ばれた。

『残念だが、君に拒否権はない』

ゴッドイーターとして強制的に召集され、

『各自 生き残ることだけ考えろ』
『新型にしかできない事がある』
『仲間を助けるなんてのは一人前のやることだ』
『だが、助けてもらったらその恩は一生忘れるな』
『早く背中を預けられるようになってくれ』
『絶対に、死ぬな』


多くの仲間に出会い、そして多くの犠牲を目の当たりにしてきた。


今、この広い荒野で アキラと優希は空を飛び去っていったヘリを見上げていた。
機体の後方にある フェンリルの紋章を見る。


「って、置き去りかよ!?」
アキラがヘリに向かって叫ぶが、プロペラの音にかき消されてしまった。
「くそっ」
悪態を吐くアキラは 優希を見やる。
さすがに優希も 顔を苦く歪めていた。
「ここはアナグラから近いし、帰れないことはないけど…」
アナグラとはゴッドイーター達の本拠地。本来ならばミッションクリア後、優希達はそのヘリでアナグラへ輸送されるはずだった。

しかし 討伐地区は想像以上の荒れ様。
象ほどの大きさの 小型のアラガミを五万と引き連れて、なんとマンションクラスの大型のアラガミが闊歩していた。
依頼主である国連軍は すでに壊滅状態だ。

「どうせなら使えねぇー軍の人間ぐらい拾ってってくんねぇーかな」
言っているはしから、周囲で無力な人間達が アラガミに捕食されていく。
悲鳴と血が飛び交う。その様子に アキラは舌打ちをし 優希は眉をひそめる。

とても、守りきれる状況ではない。
一刻も早く、この場にいるすべてのアラガミを討伐しなくてはならない。


たった二人で。



「やれるか?この数」
ガシャリと構えた神機が刀身から銃身へと変形する。
アキラは背後、優希に問いを投げかけた。
背中合わせで 同じように神機を構える優希は、少しだけ肩をすくめる。

「どうかな。もう一匹増えたら、厳しいかもね」
その声は どこかアキラをからかうような調子だ。
アキラも はっと鼻で軽く笑う。その軽口に乗っかることにした。
「だったら俺が一匹多く倒してやるよ」
「なんだ アキラも戦うつもりなの?」
「どーゆー意味だよ?」
「せっかく僕が守ってあげようと思ったのにー」
「……あのな」
こんな状況でも、全く、こいつには敵わない。
アキラは周囲を取り囲む 無数のアラガミを強気な視線で睨みつける。
ニヤリとほんの少し口元が笑った。
「言ってろよ とっとと終わらせてやる!」
アキラの気配に合わせて、優希も神機を振りかぶって走り出す。

銃声。轟音。神の嘶き。

アラガミが包囲した円陣を、アキラの銃身から撃ち出されるバレットがなぎ払う。
ダメージによろけたアラガミを、地上高く飛び上がった優希が刀身を真上から振り落として叩き斬る。

頭上から脳天を突かれたアラガミは、地面に深くめりこんで 血を吐き出し 断末魔を吠えた。


「……終わらせる…」

このミッションが終わっても、またきっと違う地区から討伐依頼が来る。
斬っても斬っても、アラガミはその力を蓄え、進化し、増え続ける。
いつになれば、本当の終わりはやってくるのだろう…。

(…いつか、絶対に……)

反撃を間近に見た他のアラガミ達が、優希を取り囲み 威嚇してくる。
後援射撃しているアキラの神機の銃声。
撃ち出されたバレットが 優希のすぐ傍を通り過ぎ、次々とアラガミに直撃していく。
耳をつんざく神の悲鳴と地響き。

「………………」
ふと、優希は意識を遠くに馳せた。
すべての音が遮断され、まるでこの世界に自分一人が立ち尽くしているような 奇妙な心地を覚える。

それは苛酷な戦況になると、いつもやってくる不思議な感覚だった。
穏やかな風に当たっているような…無音の懐かしい感覚。
目を閉じると 引き離された大切な人の姿が見えた。

「…………………」

しかしそれは、ほんの一瞬の幻。


「優希、前突っ込むぞ!!!」
荒々しい音が、耳に帰ってきた。

アラガミの返り血をものともせず、粉塵の中で優希は強い意志を持って瞼を開けた。
目前の巨大なアラガミに狙いを定め、駆け出す。

目指すのは、ミッションの成功でも、アナグラへの帰還でもない。


「家に帰るんだ…!」


ただ一つの、帰る場所。

それだけの為に、戦っている。




■迂闊に肘さえつけやしない (ぼくらの16bit戦争)

この子達はどんなパロも熟してくれる、良い子達です。笑




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