07
「トリックオアトリート!」
「…………」
保健室に直行してみれば先生に言われて。
「イタズラするぞ…………」
「飴なら、あります。」
「………去年もこれやったね」
「………はい」
「先生!トリックオアトリート!」
「どうぞ!夏代ちゃんトリックオアトリート!」
「どうぞです!」
あ、夏代。
「津山先輩!トリックオアトリート!」
「……はいよ」
「わ、ありがとうございます!」
去年のこの日も先生と
同じやりとりをしたから飴を持ってきて
正解だったなと思う。かなり本気で。
「去年は津山くんに掃除させた」
「突然でしたからね……」
「今年は持ってたか」
「流石に学習しましたよ」
「確かに、ね」
「はい」
掃除をさせられた苦い思い出に
少し眉を寄せて楽しそうな夏代と
先生を見ていれば、
「これ、津山先輩にあげます!」
「?ありがと」
貰ったのはいちごの味のする三角の飴。
「この飴好きなんです」
「そっか。それを貰ってよかったの?」
「お裾分けです!」
「ありがと」
にこにこしてる夏代につられ
俺も笑えば嬉しそうにして。
この顔が好きだなぁなんて思って
きちんと自覚するのはまた別の話。
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