第一幕「美しいシンデレラ」

 ある時代のある街のお話です。この街にはかわいらしくて上品な女の子がいました。彼女の名前はシンデレラ。彼女は本当の母親に先立たれ、父親が再婚をして新たな母親と姉たちと住むために引っ越してからまだそんなに日にちもたっていません。
 シンデレラは毎日掃除、洗濯、料理、おつかいと様々な仕事をこなしていました。しかし、シンデレラの継母と姉たちは美しく優しいシンデレラに嫉妬して意地悪ばかりするので、シンデレラはいつも粗末な服を着ていました。しかし、シンデレラは本当のお母さんが自分を見守ってくれていると信じて毎日頑張っていました。
 そんなある日のことです。部屋の掃除をしていたシンデレラのもとに二人の姉がやってきて、仕事を言いつけました。

「まだこんなところの掃除をしてたの?まだ部屋はたくさんあるのよ。あと、私たちのドレスと靴を新品同然に磨いておいてちょうだい。」

「ドレスと、靴、ですか?」

「そうよ。私たちは明日、宮殿で行われる舞踏会にいってくるの。だから、明日はお留守番していてね。」

 仕事を言いつけた姉たちはシンデレラをにらみつけ、さっさと部屋を出てってしまいました。シンデレラはぽかんとして座り込んでしまいました。

(舞踏会…ドレス…宮殿…お留守番…そんな!私もいきたい!どうして、いつもお姉さんたちばっかり……)

 シンデレラが悩んでいると、家のすみや庭の影にいるネズミや小鳥がシンデレラを心配して出てきました。いつも家の中にいるシンデレラにとって彼らは数少ない友達だったのです。

「どうしたの、シンデレラ?元気がないね。」

「実は……」

 彼らの姿を見て、シンデレラは舞踏会に行きたいこと、留守番するように頼まれたこと、自分にはきれいな靴やドレスがないことを打ち明け、相談しました。

「うーん、確かに。シンデレラは可愛いけど、その服じゃあ、ねぇ。」

「でも行きたいんだろう?「ちょっとくらいなら」ってお義母さんに相談してみたら?」

ネズミや小鳥の言葉にシンデレラは少し悩んで言いました。

「うーん、そうよね。(立ち上がって)私、明日お義母さんに話してみるわ。ねずみさん、小鳥さん、ありがとう。

……でも、こういうピンチのときくらい、白馬の王子様が迎えに来てくれるといいのにね。



タイクツな運命に 飽き飽きしたの
知らない台詞で 解き放してね

ダーリン ダーリン 心の扉を 壊してよ
たいせつなことは 瞳を見て 云って
あなたとならば この街を抜け出せる
今すぐ 連れ出して my sweet sweet darling

ダーリン ダーリン きっと あたしは つかめるよ
幸せの意味に 気づいていく 
あなたとならば 明日を変えられる
今すぐ 連れ出して my sweet sweet darling




 舞踏会の前の日の朝になりました。シンデレラは昨日磨いたドレスと靴をもって、自分の気持ちを打ち明けようと決意していました。朝、起きてきた姉たちと継母に向かっていいました。

「お、おはようございます。あの、これ、昨日きれいにしておきました。」

「わぁ!きれい!楽しみだなぁー(ありがとうはだめ。シンデレラをほめてもだめ。」

磨かれた靴を見た姉たちは口々にドレスと靴をほめました。


「それで、お義母さん、お話があ…「よくやったよ、シンデレラ。それで今日なんだがね。私たちがいないから垣根の掃除と庭の手入れもしておきなさい。」

「そんな!いつもしていないのに!」

「お黙り!口ごたえするなら、もっと仕事をしてもらうからね。今日は絶対に家から出ちゃだめよ。」

舞踏会へ行きたい、と継母に言おうとしたシンデレラですが、足をダン、と踏み鳴らしその言葉を遮り、いつもはしないような用事を押し付けた継母はおこったように部屋を出ていきました。

「あんた、どうして家を出ちゃだめかわかってないの?もしかして。」

「理由なんてあるんですか?」

「あるある!決定的なのが。汚いあんたは家の恥だからよ!」

ボー然としているシンデレラに、意地悪に言葉を紡いだ姉たちは、キャー、と騒ぎながら部屋を出て行きました。

「そんな…ひどいわ…」




その夜、悲しみにくれるシンデレラのところに誰かがやってきました。

「あなたは、誰?」

「ボクは魔法使いさ!いつも一生懸命頑張っている君にご褒美をあげに来たんだ!」


どっきりどっきりDON DON!!
不思議なチカラがわいたら どーしよ?(どーする?)
びっくりびっくりBIN BIN!!
何だかとってもすてきね いーでしょ!(いーよね!)

きっと毎日が日曜日
学校の中に遊園地
やな宿題はぜーんぶゴミ箱にすてちゃえ

教科書みても 書いてないけど
子猫にきいても そっぽ向くけど
でもね もしかしてほんとーに
できちゃうかもしれないよ!?



魔法使いが杖を振ると、いつの間にかシンデレラは素敵なドレス姿になっていました。

「それを着て舞踏会に行ってきなよ。外に馬車を用意したからね。ただし、その魔法は今夜0時にとけてしまうよ。気を付けて。」

「魔法使いさん、ありがとう!」

シンデレラがお礼を言うとニコッと笑った魔法使いは「それではよい舞踏会を!」と言い残して消えてしまいました。



第二幕へ


「#お仕置き」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -