18 《playwriter side》
ダンスを導入しての通し練習は、臨場感がとても大事だ。「今は本番なんだ」という緊張感を持ち、「間違っても仲間がフォローしてくれる」という依存を捨てる。本番の公演は二日間で4回。僕たちにとっては4回の本番だが、観客はそのうちの1回の公演を見て、評価する。
「失敗は今のうちにしておこう。その代わり失敗は、二度と繰り返しちゃ駄目だ。時間はあるようで、ない。
……さあ、楽しんでいこう」
引き締まった笑顔が、一斉にこくりと頷いた。
『(扉のノック音)はーい、あれ?誰もいない。何だったのかな……([シンデレラ]はける)』
ここで[魔法使い]のテーマソング。弾けるように[魔法使い]たちが登場。
「よし、元気良く!笑顔見せて!」
ダンスのキレはトップクラスだな。僕にはできない。
『(曲が終わる。[魔法使い]整列。[シンデレラ]出てくる)あなたたちは、だあれ?』
『魔法使いさ。君を、助けに来たんだ』
「観客見てー身振りは大きく!」
『かわいそうにシンデレラ。こんなに可愛いのに、舞踏会にも行けないなんて!』
……とまあ、こんな風に[魔法使い]たちが[シンデレラ]を助けることになって助けるのだ。[魔法使い]たちは底抜けに明るく、お人よしで、人助けは趣味さ、みたいな設定になっている。朗らかで快活な人選になっていて本当に良かったと思う。
(杉澤さんが、ちょっと元気無いんだよなあ……)
ダンスは上手いけど、真顔で踊るようなダンスじゃないから……。惰性で踊ることのないよう、言っておかないと。
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