君の声でよばれ気がした。きっとそれは気のせいだけど。後ろを振り返るけど君はいない。

 耳に残る君の声が、私の頭の中でなのdも繰り返される。どうか、その声で、私を呼んで。会いたいよ、と私の心が叫ぶ。


「ユリカ。」


 ほら、また君の声が聞こえる。 何度も、何度も。

 パッ、と荷物を持っていない右腕をつかまれる。


「おい、ユリカ」

「わっ!」


 空耳じゃなかったのかな?どこからが彼の声だったのだろうか。


「大丈夫か?」

「あ、うん。大丈夫。少しボーッとしてた。ごめん。」


 まだ、頭がボーッとしているのかな?少し彼を遠く感じる。



 学校からの帰り道を、君と歩く。緩く繋がれた、今にもほどけそうな手。
 
 ただ、君の歩く速さは、私の歩きやすい速さになっている。そんな小さなところに感じる、君のやさしさがうれしい。

  長い帰り道も、会話がなくても、ただ君のそばにいるだけで幸せに感じる。でもそんな時間はすぐに過ぎていくもので、あっという間に分かれ道。

「じゃあ、また。」

 ゆっくりと離れていく手。去っていく君の姿に君への気持ちを小さな、小さな声でつぶやく。



私が歩き出した後

ゆっくりと振り返った君を

私は知らない





fin.


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あとがき
ようやくお届けできました。すっかり忘れてたわけじゃないんですよ!ほんとですからね(嘘)
黒曜石翡翠


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