こんにちは。筆名を灯火野に改めてから初めての作品がついに完成しました。物理学シリーズも四作目。おそらくこれがシリーズ最終作品になるだろうと、自分では思っております。

　“最後”という覚悟をすると、自然と手も抜けなくなるものです。構想を練り始めてから完成まで、三ヶ月半の月日が経っていました。

　四シリーズも書き進めていったのに、結局四ノ倉柚希や紺崎望道、駒浦小径の過去は十分に明かされず終いでした。しかしそこは、読者の皆様のご想像にお任せしましょう。

　それなりにちりばめたりぼかしたりはしましたが、結局私は彼らの過去に踏み入ることはできないような気がしました。これは、諦めとか思考の放棄とかじゃなくて、読者の方に想像してもらうことの方がより、彼らの深層に近い形になるんじゃないかなと思ったからです。

　彼らは私だけでなく、読者の皆さんの心の中で語りかけているのですから。

　柚希も紺崎も駒浦も、なんだか異色な性格の持ち主でしたね。きっと、好き嫌いが読者の皆さんの中でも分かれていたのではないでしょうか。誰に一番共感したか、とかね。

　シリーズ物も四本書くと、登場人物に変化をつけさせたくなるものです。今回はその変化が不自然に映らないようにと、あえて時間を少し進めてみました。受験前のひとときを、こんな風に過ごすのも悪くないかな、と思いながら。

　約二年間仲良くしてきた彼らとお別れするのはやはり少し寂しい気持ちもあります。なんだかんだ彼らには辛い思いも多くさせてしまったような気がします。ごめんね。でも、なんだかありがとう。自分で作った人物像のはずなのに、「ありがとう」なんて変な話ですが。私の語ってしまいたいことは、ひとまず彼らが身を挺してまで語り尽くしてくれたような気がします。

　……そう、「身を挺してまで」。だから、ありがとうなのかもしれないですね。

　これからも、私「灯火野」をよろしくお願いします。ではまたいつか。近いうちに、だといいですね。

　あ、この作品の詳しい解説は、私灯火野のブログ「利き手を使うということ」に掲載されています。ぜひそちらもご一読ください。