銀色列車

とんとんとんと
銀色の列車が僕らを乗せて走ってく
とんとんとんと
すれ違い様に子豚がブヒッと鼻を鳴らす

真っ赤な太陽を眩しく感じたのは
真夏のせいだけじゃない

とんとんとんと
銀色の列車が僕らを乗せて走ってく
とんとんとんと
トイレに立った君の姿が戻らない

現実は呆れるほどにつまらない
君以外みんな灰色に見える

とんとんとんと
僕はホームに一人冷たい風に吹かれて
とんとんとんと
銀色の列車は僕を置いて走ってく

どんなドラマや小説なんかよりも
こんなにドキドキしているのに

とんとんとんと
急ぐ靴の音と焦ったような息遣い
とんとんとんと
「やっとみつけた!」僕を呼ぶ大きな高い声

どうやら君も僕を捜していたんだね
どうやら君は固く閉ざされた
扉の中にいたらしい

とんとんとんと
言えるなら言ってしまいたいよ
とんとんとんと
大きな声で「好きだよ」と

とんとんとんと
手を振って背中を見せる君の
とんとんとんと
背中に抱きついて頬をすり寄せたい

さようならを口で言わないための
改札越しに交わしたいつもの合図
合言葉なんて要らないくらい
君と僕は繋がってるというサイン

 

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