第4話 


「席替えをしよう!」

大革命。が、我がクラス1-3で起こった。

先生でありこのクラスの王様による一言で生徒であり国民の私たちがざわつく。

席替え、それは革命だ。私は思う。

特に入学したてだと席によって友好関係に大きな影響を与える。その一年の命運すらかかってくる。

窓際一番後ろ、から二番目。が一番人気スポットだなんて今はどうでもいい。とにかく消しゴムを貸してくれるような人が隣になりますように、とぶつぶつ手をすり合わせ全力で祈る。

「どんな祈りだよ、それ」

ふは、と遠慮なしに笑うのはやはり原田くんである。

「うるさいわね、これはこれから一年の命運すらかかってくる大革命なの…」

「席が最悪でも俺らが構ってやるよ」

「ちょっと、友達出来ない前提で話すんのやめない?洒落にならないんだけど。」

じっとりとした目線も込めて言えば、大きな笑い声。原田うるせーぞーとの王様からお言葉をいただいてもヒーヒー笑っている。

1限と2限をぶっ続けで学活になった理由は、委員会やらなんやらを決めるためだったが先生の思い付きで最後の余った時間を席替えにすることとなったのだった。

「じゃあまずは学級委員!だれかー。」

うっわ、学級委員とかくそダル。ていうかクラスまとめるとか絶対むり。

体を小さくしながらやり過ごす、委員会か教科係には必ずならなきゃいけないらしく、とりあえずなにか楽そうなものをしようと心に誓った。

とんとん拍子で決まる委員会、なかなかみんな自主的ですなぁと感心していると、またクラスはざわついた。

「じゃあ図書委員、誰かやってくれないか?男女一人ずつ」

そこで、手をあげたのがあの橋本くんだったのだ。

ざわつく国民たち。

「やっぱりな…あいつ楽そうなの取りやがった」

幼馴染みの楽そうなの、という単語にピクリと反応する私。

黒板には図書委員の下に橋本、と名前が書かれていて。女子はみんな怖がって視線を下げていた。

お?ここで一役買えば私友達できるのでは?といやしいことを考えていると

「女子いねーかー?なら保留して次いっ」

「先生、私やります」

至って普通に、手をあげた。

ここで変に目立たないように。

またざわついた教室、私は今勇者に格上げされただろうか。少しうるさい雑音に混じってガタン、少し大きな物音。

橋本のほうをみると目を真ん丸にして私を見ていた。

そんな表情もするんだ、とこっそりピースサインを送った。

「野村さんありがとう……」

「あいつ…、マジかよ。野村だっけ?」

「いじめられて不登校になんなきゃいいけどな…」

そんな声は右から左に受け流して。委員会活動がちょっとだけ楽しみになった。

橋本、の下に並んだ野村の文字にちょっと満足感。



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