小説 | ナノ
手のかかる後輩2ー2



うん、少しでも期待した俺が馬鹿だった。


―――数分前


「じゃあ、狩屋、先に入ってこい」

「へ?」

「お前の方が髪が短いからすぐ終わるだろ?」

「え、いや、一緒に入るんじゃ…」

「んなわけないだろ。馬鹿かお前」

「…なっ!!!んじゃ、先に入らせてもらいますけど、風邪ひいても知りませんから!」


てっきり、一緒に入ると思って少し期待してた自分が恥ずかしい。恥ずかしさを紛らわすように勢いよくシャワーを浴びる。

…あったかい

てか、先輩がマジで風邪ひいたら俺のせいだよな。と思い急いで頭と体を洗い、風呂を出る。急いで服を着て、先輩を呼ぶ。


ガラッ


「先輩ー、あがりました、よ…って風介さん、晴矢さん!?」

「久しぶりだな、マサキ。」

「相変わらず小さいなお前」

「うるせーよ!てか風介さん、酒くっさ!!」

「ふふふ、聞こえるか?神々の声が。ああ神が私を呼んでいる」

「もうそのまま神の元に逝って下さい。」

「こいつ酒弱いくせに、俺に負けたくないとか言って飲むんだよなー。まじ馬鹿だわ」


はははは、と言って指を指しながら笑う晴矢さん。風介さんに指を指しているつもりなのだろうが、誰もいない場所を指している。

…いや、あなたも馬鹿でしょう


「狩、屋…」


二人の存在で、すっかり忘れていた先輩を見ると風介さんに抱きつかれていた


「ちょ!なにしてんのアンタ!!!」


離れろー!と叫びながら無理矢理、風介さんを剥がす。そして急いで先輩を風呂へ入らせる。


「ありがとう、狩屋」

「ゆっくり入ってきて下さいね」


ガラッ


風呂の扉をしめ、二人の方へ体を向きなおす。


「で、なんでアンタらがここにいんの」


今日はヒロトさんとリュウジさんが来るとしか聞かされていない俺は、酔っぱらい二人に聞く。(晴矢さんはまだ、そんなに酔っぱらってないが…多分)


「ヒロトから、マサキが彼女を連れて来たって電話が入ったから、わざわざ飲みを中断して来てやったんだよ」

「は?」

「マサキの女神がどんな子なのか見たくて、凍てつく闇の冷たさのような雨の中を急いで来たんだ」

「もう風介さんは黙ってて下さい」

「私が黙っても神々は黙っていないぞ?」


風介さんの言葉を無視し、晴矢さんに話しかける。


「彼女…てか、霧野先輩は…男ですよ?」

「え…?おかま?」

「違うわ!!!」

「まぁ、別にどっちでもいいじゃねーか。とりあえずコイツ部屋に連れてくわ、んじゃ、また後でな」


また後で、会うのか…。まぁ同じ家なんだし仕方ないんだけど


…この人らの相手は疲れるんだよな


「また」


とりあえず笑顔で手を振り、今のやり取りで少し疲れたので、壁にもたれ掛かり、その場に座る。

ジャーとシャワーの音が聞こえる。

まぁ…あれだよな…



少しでも期待した俺が馬鹿だった

なんて思いながら、霧野先輩を待つ。


2012年7月10日

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