もう1人じゃないもの



先生に声が出てたことを言うと、良かった!と泣きそうな顔で言われた。

とりあえず、まだ声が出たばかりでまた声が出なくなるかもしれないから、とあと1週間だけ様子見で入院する事に。何もなければ来週には退院できるらしい。

先生が両親に連絡してくれたみたいで両親から電話があった。


〈名前、良かった…良かったな…〉


電話越しでも分かる。お父さんは泣いていた。後ろでお母さんも泣いていた。


『何もなければ来週で退院だって』

〈ああ、先生から聞いたよ。早くお前に会いたいよ…けど…ごめんな……〉


申し訳なさそうに謝るお父さん


『仕事なんだよね?大丈夫。友達がいるから』


私の両親は仕事でもう何年も海外に居ている。だから家に帰っても誰もいない。入院した頃、数回だけ両親は来てくれたが、仕事の為その数回以来来ることはなかった。だから退院して家に帰っても誰もいないならこのままでいいなんて思ってた。でも今は寂しくない。友達がいる。退院したら離れてしまうけど、自分から会いに行けばいい話。だから寂しくない。




◆もう1人じゃないもの
(だから大丈夫だよお父さん、お母さん)




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