どうしてこんな事に
無事、外へ出ると救護隊がすでに来ていて、佐久間さん達は運ばれていく。私は鬼道さんと一緒に佐久間さん達の元へ駆け寄った。
「悪いな…鬼道…久しぶりだっていうのに…握手も出来ない…」
「構わない」
「おかげで目が覚めたよ…でも…嬉しかった…一瞬でもお前が見ている世界が見れたから…体…治ったらまたサッカー一緒にやろうぜ…」
「ああ、待ってる…」
「名前…ごめんな泣かせて…」
まだ泣いている私を見ながら言う佐久間さん
「名前には普通にサッカーをしている所を見てほしかった…な…」
『っ……さ…く………ま……さ………んっ…』
泣きながら微かに出た声。出た声に驚きながらも、彼の手を握る
「名前の声…綺麗だな…」
そう言い、一粒涙を流し目を閉じた佐久間さん。
どうしてこんな事に…
佐久間さん…
「名字…」
鬼道さんに名前を呼ばれたが私は振り向かず、ただ佐久間さん達が乗っている救護車を見つめていた。