治療を受け、部屋へと運ばれ医者から話を聞いた。医者が部屋から出ていき、外にいた名前が隣に座る。さっき聞いた話を言うか迷っていたら『言いたくないなら言わなくていいよ』と優しい笑顔で彼女に言われた。

でも…

『言ってくれないからって、別に何処にも行かないから』
「名前…」


なんで彼女は、こんなに欲しい言葉をくれるんだろう


『大丈夫、傍にいるから』

なんでこんなに彼女は優しいんだろう…

「ありがとう」

そんな彼女の優しさに泣きそうになるが必死で我慢し、窓から見える空を眺めた




しばらくの沈黙が続き、ふと彼女を見ると、壁にもたれ掛かり、眠っていた。

可愛い…

そっと彼女の頭を撫でる。すると廊下からバタバタと足音が聞こえ、扉が開かる。目線を扉に向けると皆がいた。

「木吉!」

勢いよく掛けよってくる皆。

「みんな…!」
「って、名前ちゃん!?」
「え、あ、本当だ。なんで名字が?」
「しかも寝てる…」

隣にいる名前に気づくと不思議そうに見る皆。

「ずっと傍にいてくれたんだ…多分、疲れたんだろう」
「そっか」
「で、試合はどうだった?」
「勝ったよ!」
「おーやったな!これで…「いいから!ケガはどうなんだよ!」
「いやすまん…それが…全然たいしたことなかったわ!ねんざみてーなもんだと」

心配かけたくなくて、わざと平気なフリをすると皆は安心したようにホッと胸を撫で下ろす。

「な…なんだよ!ビックリさせやがって!入院とか言うからてっきり…」
「今日一日だけだよ。来週の決勝リーグまでには治るってさ。おおげさにさわいで悪かったな。」
「じゃ、見舞いの必要もないな!学校でな!じゃーな!」
「ああ!」

皆が帰っていき、再び空を見る。


◆空は青くて
(まるで何もなかったかのように綺麗だった)


20140529編集

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