〈黒子のバスケ〉
このまま時間が止まればいい、なんて柄にもない事思ったりして我ながらベタ惚れだなぁと思う。
「笠松先輩、笠松先輩」
「なんだ?」
「呼んでみただけです」
「なんだそれ」
くすくすと二人で笑い合う。本当にこのまま時間が止まって欲しい。女が苦手の俺がこうやって普通に話しができるのは、コイツだけで。こうやって隣を歩くのはコイツだけ。
「幸せだな」
「私も」
まだ手だって繋いだことない。キスなんて尚更したこともない。デートらしいデートもしたことなくて恋人らしいことなんて何もしたこともない。
それでも隣に居るだけで幸せで、それは名前も同じらしくさらに幸せだと思った。
「幸男さん、」
「…名前」
「顔真っ赤ですね」
「お前こそ…」
「幸男さんのせいです」
「俺も名前のせいだっ」
初めて呼んだ名前
(お互いに顔を赤くさせながら)
20140826