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710


※今更だけど朗読劇を710派が解釈してみた

謎のお兄さん、ジョンと一緒にいろんなとこ回ってる途中。交代で見張りしながら休憩しようってことになって、テント張った。んで今、たき火の番してるのがオレ。
いつもだったら一人の時間って落ち着かないんだけど、今はちょっと事情が違うっていうか…正直に言う。クラウドとスコールって組み合わせがキツイ。場が持たない!余計に精神力使っちゃってる、ため息も出るってもんッス。ジョンが加わった分まだ救われてる感じするけど、ジョンはジョンで記憶なくしたとかいろいろ、自分のことで精一杯だしな。
っていっても放っとくって手はないから、何とか耐えるしかないわけ。一人んときくらい、あー!ってなるのは許してほしい。
あー!…あ?
「く、クラウド」
テントの幕がばさっと動いたと思ったら、ぬぅっと出てきた。ちょうど手足ばたばたさせてる最中で、オレは慌てる。もう交代の時間だったっけ?
「何を暴れてるんだ?」
「えっ…違う違う、暴れてないッス。ちょっと体動かしてたっつか」
起こしちゃったんだな、ごめん。でも大丈夫だって。火の番もちゃんとできてるだろ、だから寝てていい…何で向かい側に座るんだよ。
「……」
この沈黙だ。気まずい。休憩のときくらい、楽にさせてくれよ。
前はこんなんじゃなかったのに、…そんなことを思ったら、もうだめだった。無駄に落ち込む。前っつーのはコスモスとかカオスとかってときのこと。クラウドとは一緒に行動することが多かった。そのときはこんなんじゃなかったはずだ。記憶をなくしたオレにとって、クラウドはすごく頼りになる存在で。
それがどうしてこうなったんだろ。クラウドの様子を伺う。難しい顔してる。何でだよクラウド、オレ何かした?
「ずっと言いたいと思ってたことがあるんだ」
沈黙が、クラウドの静かな声で破られる。
「何がそんなに気にくわないんだ?」
「ふは」
予想外すぎて変な息がもれた。
そのまま咳き込みそうになる。クラウド?真剣な目、ふざけてるってわけじゃなさそうだ。大体最近はそんな雰囲気ないし。オレも遅れて真剣になろうとするけど、簡単にはいかなかった。
「何でそんなこと言うんだよ」
「イライラしてるだろう、ずっと」
してない、…って言ったらそりゃ、嘘になるけど。むしろさっきよりイライラしてるけど。
「…別に」
何かしら言い訳しようとして、できなかったのは、思いつかなかったからだ。理由。本当のことを言ったってよかった、でもそういえばオレ、何でこんなふうになっちゃうのかっての、自分でもよくわかってない。
「せっかく再会できたのに、戦ってばかりだ。たまにはまともに話ができたらと思ったんだが」
クラウドはそう言って、大きく息を吐いた。おかしいってすぐ思う。それじゃオレが悪いみたいじゃんか。
もしかして…そうなのか?
「だって…だってさ。クラウドと久しぶりに会ったとき」
思い当たったことがあって、それがたしかめる前に口からするする流れ出す。
「雰囲気変わってたから。なんかしゃべりづらいって思っちゃったんだ。大人びたっつーか、なんつーか」
言いながら自分でも変に納得してた。
「かっこよくなったなーって。クラウド、別人みたいで」
何だ結局、オレがきっかけなんじゃん。勘違いしてた。…つってもクラウドのせいでもあるんだぞ、きつく当たってきてたのは事実だろ。
それを言ってやろうとして、顔上げた。そしたらクラウド、眉間にすっごいしわ寄せながらこっちのこと睨みつけてて。いやだから、そういうとこ。やめろよ。そういうとこが、怖くて嫌なんだって。

2018/8

 



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