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砂漠のど真ん中、ひずみに向かって探索中。こういうとこでの戦いに慣れてるか、自信があるってやつだけでチーム組んできてる。…んだけど、やっぱきついなーとか思いはじめてるとこ。つっても弱音吐く気なんてない、そんなこと考えてんの、オレだけみたいだし。
「ティーダ」
ちょっと立ち止まって息整えるくらいは勘弁、…ってときに後ろから、声かけられた。
フリオニールだ。
「何スか?」
ブリッツやったらすごい上手くなるだろーなって体型してて、そのせいじゃないけど、けっこう仲良くなったやつだ。それに…。
「これを」
「うわっ、なになに?」
「被ってたほうがいい。肌が焼けてつらいんだろ」
こんなとこがあるやつ。
フリオニールが被せてきたのは、いつもひらひらさせてるマントだった。
「え、いいよ。フリオニールこそ焼けちゃうぞ」
「大丈夫だ。防具があるからな」
「でも…これじゃ動きにくいし」
「じゃあ次に戦闘になるときまで、被ってたらいい」
にかってフリオニールが笑うので、オレは何も言えなくなった。
こういうやつだ。なんかむずがゆくさせられるくらい、オレのことよく気にかけてくれる。おせっかいだって思うことすらある。…でも不思議なんだよな。いやじゃない。むずがゆいけどいやじゃない。この世界に来てはじめて会ったはずなのに。こいつとは、もっとずっと前から知り合いだった気がする。
「わかった。ありがとな」
「ああ」
こういうのを、居心地がいいって言うのかも。
実際オレ、元気になってきちゃってるし。マントのおかげでもう、暑くない。

2018/8

 



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