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全体的にナメてこられてるのは知ってた。ノクトって全然王子っぽくないし年上って感じもしないとか、ヘタレってよく言われない?とか。そんな、いくらなんでも調子に乗りすぎなこいつを壁際に追い詰めた今。オレが圧倒的に有利な状況だ、それなのに煽るような目線を向けてくるのがこいつらしいっつーか、余計憎たらしいっつーか。
「ノクトにしては積極的じゃん?」
ほらな、こんなこと言うんだぜこいつ。小悪魔なんて生やさしいもんじゃねー、憎たらしいを通り越して完全に苛つかされる。けどその分興奮したのも事実で。
あごを持ち上げて上向かせる。首に腕を回してくるティーダ。引き寄せたのはオレ、でもあっちも舌をちらつかせて待ってた。数秒で深みにはまるようなキス。主導権握られてたまるかっつって集中してるせいで、甘さの欠片もあったもんじゃねーけど。
気を抜けばやられるとか闘争じゃあるまいし。けど相手につけこまれるほうが癪なのはたしかだった。息継ぎのひとつひとつにも気を遣う。今んとこティーダも隙らしい隙は見せない。感じてるかどうかさえも。焦れて手を出す、掴まれる、…しまった。
誘うように絡みついてくる指先。抵抗できない、翻弄されてる間に腕を伝って、肩と首を、頬をなぞられる。力が抜けるのが自分でもわかった。あっけないくらい簡単に倒されてオレの背中が床につく。ティーダが誇らしげな顔して乗っかってくる。
「もう限界?すげー顔真っ赤だけど」
大丈夫?耳元で囁いた上に息吹きかけてくるとか、こいつ。じゃれるような加減で腰こすりつけてきて、このまま好き勝手するつもりかよ。させるか。
「おまえだって耳真っ赤じゃん」
掴んで軽く引っ張りながら言う。平気なフリして実は余裕ねーんだろ?半分は鎌かけてみた、もう半分は正直なとこ苦し紛れみたいなもん。けど、間違ってはなかったみたいだ。
「…お、その顔はけっこーかっこいいッスよ」
「言ってろ」
あからさまに怯んだところを見逃さず、押し返して元の体勢に戻す。両腕ついて今度こそ逃がさねーようにして、お返しに息吹きかけてやった。

2020/6

 



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