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810現パロ


今日も生死に関わる暑さだ。好き好んで外へ繰り出そうとするやつの気が知れない。
「スコールぅ。なあ、スコールってばー」
ティーダ、おまえのことだ。
突然家に押しかけてきて、何を言い出すのかと思ったら。遊びに行こうだと?どうかしてる。しかもおまえの場合、特に目的があるわけじゃないんだろう。外に行ければ何でもよく、オレを誘ったのも、一人でいたくないというだけで。
勝手にしてくれ。ただしオレを巻き込むな。
「スコール、どっか行こうぜ。部屋に閉じこもってばっかとか、体に悪いッスよ」
余計なお世話だ。
「ほら見ろよ、すっげえ晴れてる。雲一つない青空!体動かしたらぜーったい、気持ちいいって」
そんなわけないだろう。むしろ恐ろしいくらいの紫外線。おまえはいいだろうが、オレは赤くなってヒリヒリするタイプなんだぞ。
「体動かしたーい!スコール、一緒に汗かこうぜ。なあいいだろー?」
絶対にごめんだ。
やめろ引っ張るな。何をしたって無駄だ、オレはここから動くつもりはない。その意思表示として、床へ張り付くように寝転がった。
管理された温度と湿度。オレの楽園。
「…いいッスよ。そっちがその気なら、オレにも考えがあるッス」
ピピピ。電子音がして、反射的に跳ね起きた。それだけはやめろ。エアコンのリモコンを操作するティーダ、たしかに、この楽園を破壊する一番手っ取り早い方法だ。なんてあくどい真似を…ん?いや、エアコンは動作し続けている。
それどころか大きな音をさせて、強い風を吹き付けてきた。寒い。鳥肌が立つ。
…そうか。逆に部屋を寒くすることで追い出そうという作戦か。客の長居を防止したい飲食店が行う常套手段。何が考えがある、だ。ティーダ、いい加減に…。
「…何をしてる」
「ん?見てのとーりだけど?」
突然、ティーダがのしかかってきた。予想外の行動に思考が追いつかない。見ての通りだと?どういう意味だ。…なっ!なぜ服を脱ぐ!?
「要は部屋の中で、汗がかけることすればいいんだろ」
ふざけるな!言ってやりたかったが、唇が塞がれ叶わない。
「エアコンがんがんに効いた部屋でっての。なんか贅沢っつーか…夏の醍醐味って感じでさ、よくない?」
ティーダはそう言って、艶やかに笑った。
…いい加減にしろ。怒りでこめかみの辺りがドクドクと波打つのがわかった。乗せられるのはしゃくだが、こうなったらヤケだ。この苛立ちすべて、おまえにぶつけてやる。

2018/8

 



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