text1 | ナノ
 

Deep down1

oo,cpなし
続きものだけど続くかわかんないやつ


 ここだ、って振り下ろした攻撃に手応えがなくて、舌打ちしたい気持ち押し殺して後ろに下がった。次の瞬間、さっきまでいた場所に突き刺さるでかいくちばし。コカトリスってモンスター、反撃もかわされて高いところに逃げてかれる、あークソ!今度こそ盛大に舌打ちした。
 意外と苦戦中。こいつらの攻撃、石化することがあるから厄介なんだよな。飛んでるから攻撃当てづらいし、今はその上、こいつらが羽ばたくたびに砂埃が舞ってうざいし。どうする?
「ワッカ!」
 答えはムキになるな、だ。
 さらに後ろに下がって、別のやつ相手にしてる仲間と並ぶ。一人でできないんなら二人で。合図するとワッカは頷いて、高いところにいるやつに照準合わせてくれた。
 ブリッツボールが砂埃を切り裂いて飛んでく。
「今だ、ティーダ!」
「よっしゃ!」
 打ち落とされたやつに向かって、ちょうどよく突き出た石を足場に三角飛びの要領で飛び上がる。よし、今度こそ仕留めたぞ。
 この調子、って思ってたら、他のみんなもオレらに合わせて動きを変えてくれた。ボールに続いて魔法とカードが上空のコカトリスを捕らえる。ユウナとエースの攻撃だ。落ちてきたやつらに、オレの剣とティファの拳でとどめ。
 作戦勝ちってやつで、あっという間に群れをやっつけ終わった。
「みんな、怪我ない?」
 最後の一羽を文字通りこっぱみじんにしたティファが、みんなに呼びかける。石化があるからな、あれちょっとかすっただけでもやばいんだ。
「わ、ワッカさん!?」
「うおわ!ゆ、ユウナ、早くエスナ頼む!」
 そうそう、こんな風にさ。石化こえーよな、…けどユウナがいるから大丈夫。ワッカのことはいいとして。
「エース、なんか通信入った?」
 オレが話しかけたのは、今回のパーティのリーダー、エースだ。その日その日で組むやつは違って、リーダーも毎回決めてる。んでリーダーは通信機を持ち歩くってのがルール。
「いや、ないな。他のみんなも、まだ何も見つけられてないらしい」
「そっか。…うーん、本当にここらであってるんスかねえ」
 やっぱりなって返事にオレはため息つきながら、静かになった回りを見渡した。
 どこもかしこもぼろぼろな、石でできた遺跡のような場所。何もなくて、やっと宝箱見つけたと思ったら砂が詰まってる…そんな場所だ。面白みのかけらもないけど、そんなこと言ってらんないのは、ここを探索しなきゃいけない理由があるからだった。
 今朝のことだ。早い時間、オレも、たぶんみんなも部屋で寝てるときのこと。いきなりがたがたって激しい揺れに驚かされたのがはじまり、部屋から出る暇もなくズガーン!がらがら…そう、最近よくある、操縦不能からの墜落ってやつで。
 もう何回目だよこれ。呆れる反面、軽く考えれたのは、今回のはそれほど酷いダメージじゃなかったからだ。実際、これぐらいならすぐ直せるだろうってのがサッズたちの意見。それですぐ、いつものメンツがとりかかることになって、じゃあオレらは暇にしてよ、ってそんなわけにはいかないよな。
 何より墜落の原因はっきりさせないとっていうので、残りのみんなで探索に出かけることにしたんだ。ちょうど近くにあったこの場所が怪しいって踏んだんだけど…今んとこ、なーんもなしってわけ。
「なあエース、思い切って移動しない?この辺りは他のやつらに任せてさ」
「そうはいかないだろう。もっと奥のほうに行ってみないと」
「えー。いいじゃんどうせ何もないって。ティファはどう思う?……ティファ?」
 どうしたんだろ、腕くんで難しい顔してる。
 もっかい大きめに呼んだら、ティファは弾かれたように振り向いた。
「ごめん、どうかした?」
「どうもしないけど…ティファこそ、どうかしたんスか?」
「何か気づいたことが?」
「あ、いや、…気づいたってほどでもないんだけど」
 何か変な感じがしない?ティファは眉をひそめながら言った。
「何がっていうのはわからないの。ちょっとした…違和感というか」
「ああ、わかる。ボクも感じる」
 え、マジッスか。わかんないって即答しようとしてたとこで、エースが頷くのに驚かされる。そこにちょうど、石化治したワッカとユウナが近づいてきて。
「オレはわかんねえなあ」
 だよな。
「あの…私も感じます」
 えっ、ユウナも!?
 オレはワッカと顔を見合わせる。相談しはじめるユウナたちと自然に分かれるこの感じ、…何かちょっと、悔しいかも。
 でも本当にさっぱりなんだ。
「何っていうわけじゃないのよね」
「はい。うーん…何もないけど、何かありそう、みたいな」
「うんうん」
 とりあえずオレももう一度、周りをちゃんと見てみることにした。砂と石でできた遺跡。ほとんどが朽ち果てて、でも原型を留めてる建物もある。砂に埋まってるとこもあれば、そうじゃないのも。
 オレは感じないけど、この場所を懐かしいって思うやつもいるのかな。
「強いていうなら、本来別にあるはずのものが、混じり合ってるような」
 そのエースの言葉でやっとオレも、そういえばって気がついた。無意識のうちに視線を動かして、
「特に、あの」
 同時にエースが指さす。一番高い、塔みたいな建物。
 そのときだった。
「うわっ」
 ぴかーなんてもんじゃない、ほとばしる雷より強い光。一瞬のことだった。見間違いかって思った。でも違った、本当に光ったんだ。それがわかったのは少し遅れて、耳をつんざくでかい音がしたから。
 それとものすごい衝撃が。
「何だありゃあ!!」
 舞い上がった砂埃が全身を叩きつけてきて、反射的に腕で顔を庇う。ワッカの叫び声で目を開けた、すぐその意味がわかった。
 …空にでかい穴が開いてる。
「な、何が起こったんだ…?」
 呆然と呟いてる、オレもエースと同じ気持ちだった。意味わかんねえ、…だって穴だぞ空に。青い空のど真ん中に真っ黒い穴、意味わかんないってマジで!
 でもオレたちが考えなきゃいけなかったのは、何が起こったかじゃなくて、これから何が起きるかってことで…。
「おい、嘘だろ」
 黒い穴が、ごうっとうねり出したんだ。ものすごいエネルギー。集まってってる、ってことは…。嘘だろ?あの穴、吸い込もうとしてないか。
 洒落になんないってそんなの!
「みんな何かに掴まって!!」
 ティファが冷静に声張り上げてたけど、何でかオレは、それじゃだめだってわかってた。掴まるくらいじゃだめだ、早くここから離れないと。
 逃げないと、
「きゃああっ!」
「ユウナ!!」
 掴んで引っ張ろうとした手に届かなくて、オレの手は空を切る。まだだ。もっと伸ばそうとした、そこで体ごと持ち上げてくる強い力に襲われた。
「ユウナ…っ!」
 何も見えなくなって、ごうごうみたいな音だけが聞こえてて。
 …またかよ、なんてスピラに渡ったあのときのこと、ちょっと思い出しちゃったのは事実だ。

2018/11

 



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