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第一回公式イベント

2013.11.30.Saturday

6月13日、午後3時40分過ぎ。
文京区の学校周辺の道路は、その日も帰宅途中の学生でごった返していた。天照学院高等部の制服を着た、千草八代もまたその中の一人である。多くの学生服とすれ違いながら、妙に落ち着きの無い雰囲気に彼は違和感を覚え始めていた。
それが現実となって現れたのは、地下鉄入口に辿り着いた時である。駅に下りる階段が込み合っていて、近寄れば彼らは口々に同じ単語を発していた。
「事故?」
ふと見れば、道を挟んだ向かいの商店の軒先のテレビには、かなりの人だかりが出来ている。


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01:16

10/00

2013.09.30.Monday

放課後の教室で、雨粒が窓にぶつかる音をぼんやり聞きながら帰り支度をしていた八代は、隣の席に誰かが座る気配を感じて視線を上げた。
「珍しいね、八代君が帰るの遅いなんて」
「……雨降ってるし、濡れたくないなと思って。止むの待ってたんだけど無駄みたいだ」
「そっか。なんかね、夜まで降るらしいよ」
「そうなんだ」


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23:34

願い星、一つ

2013.07.07.Sunday

7月7日。
短冊に、願いを記して笹に結ぶ。
日月家のベランダには沢山の笹飾りと金色の紙が、ざわざわと風に揺れていた。
この天の上では、恋人たちが年に一度のデートを愉しんでいるはずで。
私にも、幸せを少し分けてくれないかな、なんて。
うっすらと雲った空を見上げて考えた。
だって今日は、私の誕生日だから。


【願い星、一つ】


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02:52

2009 夏

2013.06.25.Tuesday

ほぅ、と。
暗闇に溜め息が落ちた。


視線を上げれば窓の外で、白い吐息が浮かんでいた。
真夏の夜の事である。
焼付くような昼間の暑さは幾分和らぎ、じっとりとした熱気が残る夜だった。
クーラーの効いた部屋の中で机に向かっていた千種は、一時間前から進んでいない宿題を置いて窓辺へ向かった。
カーテンを閉め忘れた窓は真っ暗な外の裏庭を、額縁の如く飾っている。
その奥に、ぼんやりと白いモノが浮かんでいた。庭といっても、道路と敷地を鉄柵で区切った、僅かな隙間に勝手に生えた植物が覆い茂っているものだ。
その柵に絡み着いた蔦には、いくつも綿のような花が開いていた。


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01:44

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