ごろんごろんとシーツになつくたびに、こげ茶の髪がさらさらと広がっては流れる。
バーナビー宅の大きなベッドも、男二人でねそべればいっぱいだ。それでも遠慮なく虎徹はころがっては行く手にあるバーナビーを轢き潰す。
そうしてごろごろひとしきりなついてから、よくきたえられた胸に顎をのせて、金色の目が楽し気にひかる。

「バニー、バニバニバニー、バーニィーちゃーん」
「ご機嫌ですね」
「へへ、だってお前かわいいんだもん」

にへら、と緩んだ顔で笑うのに、つられてふにゃりと顔が緩むのを自覚しながらバーナビーは手をのばして、こしのある髪をさらさらと梳く。
男にしては長さのあるそれは、今はセットもくずしてやわらかいだけだ。

「そうですか?」
「ん。かわい。かーあわいー」
「酔っ払いの虎徹さんの方がかわいいです」

平然と言うバーナビーの頬も赤い。二人していやほど酒を飲んで飲んで飲み明かしてもう午前一時、すっかり酔っ払いの様相だ。

「そ?」
「ええ!」
「ふーん。おれかわいんだ。へー。へへっ」
「もう、とってもかわいいです。キスしても?」
「あいよ、どうぞ」
「じゃ、遠慮なく」

ベッドの下には酒瓶が二本転がったままで、それでも何も気にせずバーナビーは虎徹に懐いた猫みたいにキスをする。
おとなしく差し出された唇に唇でやわらかくふれて、頬に滑らせて、鼻をくっつけてふんふんかいでぺろりと舐める。

「んーふん、ふふふふ」

くすぐったげに笑う虎徹が、唇を浅く開けて歯をぺろりと舐めさせたまま何か言うので言葉が不明瞭だ。

「はい?」

聞き返して、唇を離す。やわらかいリップ音が立って、二人して目を合わせてくすくす笑う。

「くち、かさかさだ、ばにー」
「嫌でした?」

健康的な肌色の指先が、ふに、と桃色の唇を突く。
それをぱくんと喰われるがまま、真珠みたいな歯をひとつひとつ辿っていくと、甘えたの犬みたいにやわくかじられた。空いたもう片手で巻き毛をそっと撫でる。わたがしみたいだ。細くて繊細で優しい。口に含んだらほろほろ溶けてしまいそうだ。きっと甘い。
そんなことを思いながら、くしゅくしゅと毛先を遊ばせていると、掌に頭が懐きにきて笑う。ほんとに動物みたいだ。

「やじゃないよ、おれいっつもぱりぱりだもん」
「虎徹さんもリップクリームぬれば良いのに」
「エーぺたぺたすんじゃん。やーあだ!」
「まあ面倒ですよね」
「ほら、ほんとはずぼらなくせに見栄っ張りのバーナビーブルックスjr.くんが気を抜いてるのを見るのがおじさんはうれしいんだよ!」
「あなたのまえだけです」
「うんそーして」
「はい」

頭を撫でられながら頷くのに虎徹が吼えた。

「かわいーバニーはおれだけのだからな!他の人の前でかわいくなんなよ心配だから」
「こんなでかい男つかまえて何が心配ですか」
「えーだってバニーお前かわいいんだもん。さらわれちゃうよ?奪われちゃうよ?」

とがらせた虎徹の唇に吸い付きながらバーナビーは聞く。

「誰に何をです」

額を合わせてねだると、虎徹がもじもじと身体を動かした。こどもじみた仕草。
甘えてくれているみたいで、自分があまえるばかりではないのだと知れて嬉しくなる。

「えー、言うのー?」
「いみわかんないですもん」
「みみかして」
「誰も聞いてませんて」
「いーからいーからホラホラ。な!」

俺みたいなワルイおじさんにかっさらわれて、オマエの貞操うばわれちゃうぜ?

寄せた耳にぞろりと滑り込んだ滑らかな低音に、ぞくぞくと鳥肌を立てたバーナビーを笑う。まだまだ若い兎は料理のしがいがあるなあと虎徹は満足気に舌なめずりをする。
そのあと興奮したバーナビーにがぶがぶ食いつかれてぐったりベッドに埋まるまでが、二人の今日。




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