すりついてきた体が、熱い。
押しのけても一向構わず、手のひらが背中を撫でて肩を抱く。
吐かれた息が首をかすめて、バーナビーは息を詰めた。ひたりと吸い付いた肌は心地良くて、動物みたいに甘えた声がもれた。

「ほら、こっちこい」

言って、笑って名前を呼ぶ声は低くなめらかで、ぞくりとするほど艶を含んで身体が痺れさせる。

抱き寄せる腕におとなしく従う。黒いTシャツをたくし上げられてベルトを抜かれて、あっという間に肌を晒される。ネイビーのシーツにサイドボードのライトが当たって海のようだ。くらいくらい、恐ろしいのにどこか慕わしく波立つ、夜の海。

おおきな獣がなつくようにのしかかられて押し倒されて、それから頬と唇に浴びせる様にキスをされる。
ちゅっちゅと音立つキスは優しいけれども物足りない。それでも優しいだけのキスの雨は心底気持ちが良くて止めるのは惜しい。思いながらふ、と鼻から吐息が漏れて目を瞑ると、両瞼にも二つずつ唇がおちた。

「いいこだ」

囁く声が耳朶にしのんで脳を溶かす。
ゆったりと目を開けるとあった視線に、口元と金色の目がにぃと笑った。

囁くように名前を呼んで、バーナビーは身体にのしかかる男の肩に手をかけて引寄せる。笑いながらされるがままになる虎徹にむかって舌を伸ばした。
ねえ、もっと荒くもっと深く。


綺麗に整った顔のほとんどを色に、それからわずかな不満と恥じらいに染めてねだる年下の男に、背筋と腰骨がぞくりと疼いた自分を、虎徹は苦笑しながらも認めた。

伸ばされた桃色の舌はすこしふるえてつやりと光る。うすい唇。あんまり綺麗で低俗でセクシーなのに感動して、下唇と舌の境目を指でなぞると眉がよって人差し指を喰われた。
あたたかくしめった咥内に吸い付かれながら、爪と肉との境目を舌先でおされる。

じっとみつめながらいると、挑発する勢いだった緑色の目が伏しがちになるのにくすくす笑って、指を抜き取って額を合わせた。鼻先が触れて唇があわさって、くらいあうようなキスをする。

「バニーちゃんのえっち」

白い目尻を赤く染めて、離した唇をうっすら腫らして。空気をかきまぜるように長い睫毛をまたたいてみせるバーナビーを、虎徹はくらりとわいた欲のまま、押し倒して埋めたバーナビーの首筋にかみつくようにあとを残していく。

背中にまわされた指先にく、と力が入って肩甲骨をなぞられる。視線がとろけるようにからみあってごぼり、心が溺れる音がした。




しずむ





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