※高校生なKOHとその飼い犬出演





よく響く呼び声に、楓の身体がぴくんと跳ねる。
のこり三分の一くらいのトーストをさくさくさくと素晴らしい手際のよさで口にいれて牛乳でのみこんで、ごちそうさまを言って手早く歯を磨いてバックパックをひっつかむ。
そうして転がるように玄関先にかけて行くのに髭をととのえている虎徹がころぶなよ、とのんびり声をかけて、いってきますと響いた声に二人分のいってらっしゃいが応えてからバーナビーは新聞から目をあげて時計を見る。
いつも通りの朝だ。

「おはよう、おまたせ!」
言いながら、楓はアパートの前で笑う友達二人に駆け寄った。
うぉん!と一声吠えた方の頭を撫でると気持ち良さそうに擦り寄るのにくすくす笑って、背の高い方の友達を見上げる。
おはようを返しながらいつものようにリードを差し出してくれるのに、楓はうきうきしながら遠慮なく受け取った。
尻尾が楓の脚をはたくのに、行こうかと声を掛けるときらきらした目で見上げてくる。それでも、GO、と言うまでけして勝手に歩き出さず、リードを強く引っ張ることもない大きな賢い友達。その優しい黒い目が楓は大好きで、誇らしい。

公園でリードを外して、フリスビーを取り出すキースに、ぷいと背を向けてふんふんとそこらを嗅ぎまわる。
ため息をついたキースが楓にフリスビーを差し出して、楓がやる?と声をかけるや身を翻してぴったりと横について、はやくはやくと目で急かされた。
「楓ちゃんの言うことなら聞くのに、どうして私だと無視するんだい!」
飼い主が嘆いてみせるのも知らんふりで、小さい身体にすりよってくうと甘えた声を出すのにけらけらと楓は笑って言う。
「キースはフリスビーが上手すぎるからだよ!」
彼が投げたフリスビーはいつまでたっても落ちてこない。
へたっぴなのも良くないけど、あんまり飛んでると追っかけるのも飽きちゃうよねえ。
話しかけると全くだ、とでも言いたげにがう、と唸り声があがって、鼻先が楓の手をつついた。

そうしてしばらく遊んでから、公園の横にスクールバスが止まるのを見て、じゃあ行くねと楓が手を振る。いつもありがとう、そしてありがとう!と手を振りかえして、楓の乗ったバスが出るまで愛犬と見送ってから、さみしそうにくうと鳴いた鼻先を撫でてやる。

また明日、とつぶやいて、きらきらした笑顔を思った。




さんぽ





「キースが楓に惚れてたらどうしよう……」
「大丈夫ですよ」
「だってお前、高校生男子が毎朝だぞ?嫌になんねえか普通」
「大丈夫ですって、」
何かあったら僕らが黙ってませんから、くれぐれもよろしくって伝えてあります
「さっすがバニーちゃん」
「当然のことをしたまでです」



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